タイトル |
高糖度で外観に優れ、種なし栽培可能なカキ新品種「麗玉」(れいぎょく) |
担当機関 |
(国)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 |
研究期間 |
1998~2015 |
研究担当者 |
佐藤明彦
山田昌彦
河野淳
三谷宣仁
伴雄介
尾上典之
上野俊人
白石美樹夫
岩波宏
吉岡美加乃
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発行年度 |
2015 |
要約 |
カキ新品種「麗玉」は、高糖度で良食味な早生の完全甘ガキである。へたすき、果頂裂果、汚損果がほとんど発生しないため、外観が優れる。結実性が良好で、受粉樹を混植しない条件では種なし果が生産できる。
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キーワード |
カキ新品種、完全甘ガキ、高品質、早生、種なし栽培
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背景・ねらい |
現在栽培されている完全甘ガキは中晩生に偏っている上に、へたすきや果頂裂果といった裂果が発生しやすい。さらに、既存の早生の完全甘ガキは、早期落果が多く結実が不安定であり、へたすきや汚損果が多いため生産が限られている。また、種なし栽培への要望も強い。そのため早生で優良な完全甘ガキの開発が強く要望されている。そこで、果肉が柔軟多汁で食味が良く、裂果が少ないうえ、種なし栽培をしても結実良好な早生の完全甘ガキ品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 1998年に農研機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点において、早生で高糖度の「甘秋」に、中生で良食味のカキ安芸津19号(「大御所」×「太秋」)を交雑して得られた実生から選抜した。2008年から2014年までカキ安芸津22号としてカキ第7回系統適応性検定試験に供試して特性を検討し、2015年2月の同試験成績検討会において新品種候補とした。2015年6月3日に品種登録出願し、9月29日に出願公表された。
- 「富有」を中間台木とした樹における樹勢は中で、樹姿は開張と直立の中間である。展葉期および開花期は「松本早生富有」とほぼ同時期である。雌花の着生は中~多で、まれに雄花を着生することがある。早期落果は少なく、後期落果は生じない。果実の収穫期は10月中下旬で「松本早生富有」より2週間程度早い(表1)。
- 果実はやや腰高の扁円形である。「富有」中間台木における果実重は280g程度で「松本早生富有」と同程度である。果皮色はカラーチャート6程度で「松本早生富有」と同程度の果皮色で収穫できる(表1、図1)。糖度は18%程度と高く、肉質の粗密は中、果肉硬度が低く果汁も多いため、品質は良好である。受粉樹が混植された栽培条件での種子数は5個程度である。果頂裂果、へたすきはほとんど発生しない。汚損果は「松本早生富有」と同程度に低く、外観良好である。日持ち性は「松本早生富有」並みに長い。
- 花粉遮断した果実の結実率は90%以上と高いため、受粉樹は不要であり、種なし果の生産が可能である(表2,図1)。種なし果の果実重、糖度、果肉硬度は種あり果と同程度で、外観的にも差はない。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:カキ生産者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:東北以南の「富有」生産地で栽培が可能である。熊本県をはじめ、岐阜県、奈良県といった地域で早期の普及が見込まれる(許諾苗木生産業者数:11県、40業者)。
- その他:苗木販売は2016年秋季から開始予定。これまで「甘百目」、「大養」といった品種に明確な接ぎ木不親和が認められ、「平核無」、「刀根早生」、「西条」、「前川次郎」、「禅寺丸」への高接ぎにおいても接ぎ木不親和が認められるので、これらの品種への高接ぎも避ける必要がある。「富有」、「松本早生富有」、「太秋」への高接ぎ樹では樹勢の衰弱は認められていない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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図表7 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2015/15_036.html
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カテゴリ |
かき
カラー
栽培条件
受粉
新品種
台木
高接ぎ
接ぎ木
苗木生産
品種
良食味
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