タイトル |
1kmメッシュの農業気象データを全国について作成・配信するシステム |
担当機関 |
(国)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
2011~2015 |
研究担当者 |
大野宏之
佐々木華織
吉田ひろえ
中園 江
丸山篤志
中川博視
|
発行年度 |
2015 |
要約 |
このシステムは、日平均気温など9種類の日別気象データを日本国内の任意の地点/地域、1980年~当年の任意の日/期間について約1kmのメッシュで提供する。最長26日先までの予測値を含むデータを、ファイル操作を介さずに表計算ソフトのシートに配信する等が可能である。
|
キーワード |
メッシュ、農業気象、予報、OPeNDAP
|
背景・ねらい |
近年の温暖化を背景に、気象条件を考慮して作物を管理する必要性が増し、発育予測に基づく栽培管理や病害虫防除適期の提示、作付適期の設定、冷害や高温障害の予測に基づく対策など、栽培管理支援技術やアプリケーションの開発が盛んに進められている。これに伴い、予報値、湿度等の新しい要素、任意の時間/領域範囲の即時的供給など、アメダスを基盤とする従来のデータでは対応困難な気象データの需要が増加した。そこで、これらに対応できる気象データの作成・配信システムを開発し、次世代の農業向け気象情報インフラの社会実装を推進する。
|
成果の内容・特徴 |
- 開発したシステム(メッシュ農業気象データシステム)は、専用のプログラム(職務作成プログラム 機構A-24)で気象庁の気象資料から日別気象データセット(メッシュ農業気象データ)を作成する部分(メッシュ農業気象データ作成装置)と、これを利用者に配信する部分(メッシュ農業気象データ配信サーバー)から構成される(図1)。これらは、2台のPCに個別に構築することも1台のPCに両方を構築することもできる。
- メッシュ農業気象データは、基準地域メッシュ(約1km)に準拠する1980年から当該年までの日別データセットで、平均気温、最高気温、最低気温、平均湿度、平均風速、全天日射量、日照時間、降水量、下向き長波放射量からなる(表1)。それぞれは、当該日の1日前から最長26日先までの部分が最新データで毎日更新され、それより先が平年値で埋められる(図2)。
- メッシュ農業気象データにおける日平均気温の誤差は、過去値に対し全国平均で0.7℃である。予測値に対する誤差(EF)は予報日数によって異なり、当該日で1.2℃、6日先では2.1℃である。これは平年値を予測値として使用したときの誤差2.5℃(EC)よりも小さい。この効果((EC-EF)/EC)は、日別値で見ると7日まで認められ、平均/積算した値では30日より先まで認められる(図3)。
- システムは、HTTPの他、Webクエリ(MS-Excelの機能)やOPeNDAP(通信規約)によるデータ転送をサポートするので、ファイル操作なしに表計算アプリのシート上に最新データを取り込むことや、計算プログラムの変数にデータを代入することなどが可能である。また、システムが日々蓄積するアーカイブデータを用いると、過去の特定の日に提供されたデータを再現することもできる。
- 事業者等は、このシステムの運用により多数の顧客にメッシュ農業気象データを提供することができる。利用者は、このデータの利用により、農業気象災害早期警戒や栽培管理を支援に関する様々な手法の研究や、サービス、アプリケーションの開発、運用が行える。
|
成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:農業情報事業者、気象事業者、JA、都道府県等
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:数社の気象事業者、数社の農業情報事業者
- その他:試験運用では、道府県試験研究機関(42件)、国立研究開発法人(25件)、大学等(14件)、民間事業者(12件)が利用した。職務作成プログラムは現在までに3件の利用許諾が行われた。気象資料の取得費用は約30万円/年である。システムが作成するデータは気象予測を含むので、作成した個人や法人が自ら使用することは差し支えないが、第三者に継続して提供する場合は気象庁長官の許可が必要である。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2015/15_066.html
|
カテゴリ |
病害虫
高温対策
栽培技術
凍害
病害虫防除
|