日本海沿岸の急潮発生機構の解明とリアルタイム急潮予測システムの開発

タイトル 日本海沿岸の急潮発生機構の解明とリアルタイム急潮予測システムの開発
担当機関 (国)水産総合研究センター 日本海区水産研究所
研究期間 2012~2014
研究担当者 井桁 庸介
池田怜
大慶則之
鮎川航太
兼田淳史
熊木豊
太田太郎
広瀬直毅
発行年度 2015
要約 日本沿岸では、急潮(突発的な強流)により定置網等に被害が発生することから、発生予測が求められていた。各府県・大学と協力して流動観測を行い、台風、対馬暖流の離接岸による急潮の発生機構を解明したのに加え、高精度な高解像度海洋モデルを開発した。高解像度モデルを用いた予報計算結果をインターネットで配信し、漁業者等が、いつ、どの程度の急潮が発生するかを把握できるようになった。
背景・ねらい 日本沿岸では、急潮(きゅうちょう)と呼ばれる突発的な強い潮の流れが発生することがある。日本海沿岸域では、例えば、2004年の台風15号に伴う急潮により180ヶ所以上の定置網が破壊されるなど多くの被害が発生している。急潮による定置網被害を回避するためには、発生前に海から網を引き上げることが最も効果的なため、急潮の発生予測が求められていた。そのためには、発生機構の解明を行い、その知識をベースに予測モデル・システムを開発する必要があった。
成果の内容・特徴 急潮は、海域ごとに発生要因や規模が異なるため、様々な海域で流動を分析する必要がある。そこで、日本海区水産研究所(日水研)は、日本海に面する各府県の自治体、漁協、大学の計9機関と協力して2012年から3年間、高精度な流動データを広範囲に収集し、急潮の実態を詳細に把握した。得られた結果から急潮の発生要因を分類し、1.台風や低気圧等による風に起因するもの、2.若狭湾に形成される時計回り還流に起因するもの、3.対馬暖流の流軸・流勢の変動に起因するもの、の3つの主要な発生要因を明らかにした(図1)。それと並行し、海洋数値モデルを使用して、鳥取~山形沿岸を対象とした沿岸流動予測モデルを作成した。観測データや発生機構の知識を元にモデルの改良を行い、予測に耐えうる精度を持つ予測モデルを構築したのに加え、予測計算結果から急潮を抽出する統計モデルを開発した。この予測モデル・統計モデルを用いた予測計算を実施し、結果をwebサイト(http://kyucho.dc.affrc.go.jp/)にて迅速に情報公開・配信する「リアルタイム急潮予測システム」を構築し運用を開始した(図2)。
成果の活用面・留意点 急潮の強さを示す指標として「急潮指数」を導入して、急潮指数3以上が予測された場合、被害が生じる急潮が発生するとしてその時期、場所を分かり易く公開している。さらに、各海域での流れの拡大図についてもアニメーションで見ることができる(図3)。過去に発生した急潮の再現計算による精度検証の結果では、発生する急潮の70~80%を数日前に予測することが可能であると判断できている。本システムの急潮予測情報を漁業関係者に活用していただくことにより、急潮被害の大幅な削減が期待できる。
図表1 237521-1.jpg
図表2 237521-2.jpg
図表3 237521-3.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=5155&YEAR=2015
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