飼料用米のサイレージ調製作業体系と低コスト運用条件

タイトル 飼料用米のサイレージ調製作業体系と低コスト運用条件
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2010~2015
研究担当者 井上秀彦
川出哲生
遠野雅徳
宮地慎
恒川磯雄
浦川修司
野中和久
発行年度 2015
要約 飼料用米破砕機とベルトコンベア等を組み合わせた調製作業体系により、二名体制で籾米サイレージを連続的に調製できる。破砕能率が現物重で0.7t/hの破砕機利用の場合、54 t以上処理することで調製コストは平均的な乾燥調製委託費(25円/kg)を下回る。
キーワード 国産自給飼料、サイレージ、飼料用米、作業体系、コスト
背景・ねらい 現在、飼料用米は乾燥玄米または乾燥籾米での流通が中心であるが、大家畜への利用を推進して自給濃厚飼料として普及定着化させるためには、乾燥工程が不要でコスト削減が期待できる籾米サイレージ貯蔵技術を確立することが不可欠である。そこで本課題では、省力的かつ連続的に作業可能な籾米サイレージ調製作業体系を構築し、乾燥調製委託費よりも低コストに運用する条件を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 飼料用米を良質なサイレージに調製するためには、加水(目標水分含量30%)、乳酸菌添加、破砕の3つの処理を行い(2012年度普及成果情報「完熟期収穫の飼料用米サイレージ調製法」)、内袋を装着したフレコンバッグに投入し、脱気・密封処理を行う必要がある。市販の飼料用米破砕機およびベルトコンベア類を組み合わせて調製作業体系を構築することで、これらの作業を省力的かつ連続的に行うことができる(図1)。作業の流れは、原料籾米の入ったフレコンバッグを天井クレーン等で持ち上げ、籾米をバケットエレベータに投入して破砕機に供給し、破砕した籾米をベルトコンベアで搬送し、加水・乳酸菌添加を行い、フレコンバッグに投入後、脱気・密封する工程となる。
  2. フレコンバッグ1袋当たり400kg(調製後重量)を梱包する場合、破砕能率2.1t/hまでの破砕機で二名体制の連続調製作業が可能である(図2)。また、さらに能率の高い破砕機を用いる場合(3.8t/hまで)、三名体制で対応可能である。なお、本作業体系で調製した籾米サイレージの発酵品質は、pH4.0~4.2、乳酸含量1.1~1.6%FM、酪酸含量検出限界値以下である(n=9)。
  3. 破砕能率0.7t/hの破砕機を用いる場合、一日当たり8時間作業、30日間の調製作業を想定すると、最大で168 tの処理量となり、この条件での原料籾米1kg当たりの調製コストは14.1円/kgとなる(表1)。籾殻膨軟処理装置(破砕能率2t/h)を籾米の破砕機として汎用利用する場合、最大で480tの処理量となり、調製コストは10.4円/kgとなる。
  4. 籾米収穫後の乾燥調製委託料金を原料籾米1kg当たり25円/kgとすると、籾米サイレージ調製では破砕能率0.7t/hの破砕機を用いると原料籾米54t以上、破砕能率2t/hの籾殻膨軟処理装置を用いると98 t以上の処理量で調製コストが下回る(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:都府県の土地利用型農業法人、集落営農組織、普及機関
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:耕種農家と畜産農家が近隣に存在する地域。
  3. その他:本調製作業体系が低コストで稼働するためには、作業人員および作業場所の確保、各作業機の導入、一定以上の規模の飼料用米作付けが必要となるため、中長期的な視点で運用計画を立てる必要がある。また、フレコンバッグを用いた籾米サイレージは不完全な密封や、内袋に空いた穴等によりカビが発生することがあり、作業に習熟が必要である。
図表1 237579-1.gif
図表2 237579-10.gif
図表3 237579-11.gif
図表4 237579-12.gif
図表5 237579-2.gif
図表6 237579-3.gif
図表7 237579-4.gif
図表8 237579-5.gif
図表9 237579-6.gif
図表10 237579-7.gif
図表11 237579-8.gif
図表12 237579-9.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2015/15_022.html
カテゴリ 乾燥 コスト 飼料用米 低コスト 肉牛 保存・貯蔵

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