新規に樹立されたLFBK-αvβ6細胞の口蹄疫ウイルスの分離率は高い

タイトル 新規に樹立されたLFBK-αvβ6細胞の口蹄疫ウイルスの分離率は高い
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2013~2015
研究担当者 深井克彦
森岡一樹
山田学
西達也
吉田和生
北野理恵
山添麗子
菅野徹
発行年度 2015
要約 新規に樹立された豚胎子腎株化細胞LFBK-αvβ6の口蹄疫ウイルスの分離率は、既存の山羊胎子舌株化細胞ZZ-R 127と同様に高く、より確実かつ効率的な病性鑑定が可能となる。
キーワード ウイルス分離、株化細胞、口蹄疫
背景・ねらい 口蹄疫の病性鑑定において実施するRT-PCRを始めとする遺伝子検査は感度や迅速性に優れているが、診断精度を上げるためには、抗原検出ELISAやウイルス分離等の複数の検査法を組み合わせることが必須である。特にその後必要となるワクチン株の選定や流行株の病原性解析にはウイルス分離が欠かせない。 近年新規に樹立された豚胎子腎株化細胞LFBK-αvβ6は、口蹄疫ウイルス(FMDV)に対して高い感受性を示すと報告されている。一方、山羊胎子舌株化細胞ZZ-R 127は豚腎株化細胞IB-RS-2よりも約2倍高いウイルス分離率を示すことが明らかとなっている。しかし、ZZ-R 127細胞とLFBK-αvβ6細胞は国外の異なる口蹄疫研究機関で樹立されたため、FMDVに対する感受性が同一の条件下で比較されていない。また、両細胞の感受性は、水疱上皮以外の臨床検体、すなわち、比較的採取が容易な血清、唾液および鼻汁等を用いて検証されていない。 そこで、本病の病性鑑定時における高感度なウイルス分離に資するため、牛、山羊および豚の感染試験で得られた臨床検体を用いて、両細胞のFMDVに対する感受性を動物種毎に比較検証する。
成果の内容・特徴
  1. 牛、山羊および豚を用いたFMDV O/JPN/2010株の感染試験において遺伝子検査で陽性であった血清、唾液、鼻汁および食道咽頭粘液合計328検体のうち、ZZ-R 127細胞およびLFBK-αvβ6細胞によりFMDVが分離されたのは、それぞれ46.3%および49.1%の検体からである(表1)。
  2. 両細胞のウイルス分離率は、山羊から採取された検体についてはZZ-R 127細胞の方が高く、牛および豚から採取された検体についてはLFBK-αvβ6細胞の方が高い(表1)。
  3. これらの検体からのZZ-R 127細胞とLFBK-αvβ6細胞によるウイルス分離成績の比較において、牛では97.0%、山羊では98.7%、豚では98.9%の検体で分離成績が一致する。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:口蹄疫の研究者および診断技術者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:海外の口蹄疫研究および診断施設
  3. その他:一方の細胞においてのみウイルスが分離された検体が認められたため、病性鑑定においてはZZ-R 127細胞およびLFBK-αvβ6細胞を併用することが望ましい。得られた成果は、すでに中国、韓国、タイおよびマレーシア等の国々に提供されており、実際に一部の施設において活用されている。
図表1 237583-1.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2015/15_058.html
カテゴリ 診断技術 山羊

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