子どもの学びを通し農業水利施設の保全管理活動への関与を高める方法

タイトル 子どもの学びを通し農業水利施設の保全管理活動への関与を高める方法
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2012~2015
研究担当者 遠藤和子
進藤惣治
唐崎卓也
芦田敏文
発行年度 2015
要約 子どもを対象に農業水利施設の機能や地域における歴史的価値、生活、生き物、環境とのかかわりについて学びの機会を提供することにより、土地改良区組合員や地域住民を巻き込み農業水利施設の意義や重要性を啓発し保全管理活動への関与を高められる。
キーワード 子ども、農業水利施設、保全管理活動、土地改良区、地域住民
背景・ねらい 近年、地域の共同活動の低下により農業水利施設の機能や多様な価値の継承が危ぶまれている。従来、農業学習は子ども自身の学習を目的に実施されてきたが、農業水利施設を対象とする学習では、活動にかかわる大人にも啓発効果が認められ施設の保全管理活動に波及することがわかってきた。そこで、当該施設の次世代継承を目的に、子どもの学びを通し施設の機能や多様な価値の理解を深め保全管理活動につなげていく方法を提示する。
成果の内容・特徴
  1. 農業水利施設について学ぶ方法には、学校での出前授業、土地改良区訪問、頭首工、ポンプ、水路などの施設見学、記念碑や史跡等の見学、農作業を通しての水の役割学習、水路に生息する生き物観察、水路の清掃や景観形成などがあり、土地改良区、学校、地域など主催者の目的に応じ様々なバリエーションで実施することができる(図1)。
  2. 屋内における講義では、パンフレット等の説明資料に加え、教本、紙芝居、模型、ジオラマ、生き物見本などを用いることにより、生活科、社会科、理科、総合的な学習の時間の教材として優れたテーマを提供することができるとともに、子どもの関心を高める上でも有効な方法となる(表1)。
  3. 屋外での学びでは、田んぼの水がどのような装置を経由してどこからやってくるのかバスで施設を巡り探検する趣向で実施したり、水源涵養林見学やホタルの飼育・放流を親子で体験したりする方法がある。また、農業学習の一環として農業水利施設の役割を学ぶ方法は、農地の借入、農作業や調理指導において地域住民や関係機関の協力が必要となるためハードルが高いが、反面、協力者にも啓発効果を発揮することができる。
  4. 積極的に取り組む事例の中には、学びの内容を事前研修することにより土地改良区組合員の相互理解が深まり賦課金徴収率の向上やごみの減量に波及している事例がある。また、学校での学習発表会を通じ子どもの親世代に理解が広まったり、子どもの意欲的な態度が主催者の自信や誇りにつながったりするなど、子どもへの継承にとどまらず、組合員や地域住民(大人)にとっても良好な効果をもたらす(図2)。
  5. 学びの内容は、地域の学習を進めながら歴史書の掘り起こしやワークショップを通し、後から充実させる手順でよい。さらに、土地改良区、学校、地域の多様な主体から成る運営体制を整えることで、多世代の地域住民を巻き込む活動展開が可能となり、土地改良区単独の場合よりも農業水利施設の意義や重要性を広く啓発することができ保全管理活動への関与も高まる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:土地改良区、多面的機能支払活動に取り組む地域協議会などのリーダー
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:広報活動の推進を目標とする団体
  3. その他:農業農村整備事業の広報活動や多面的機能支払活動において学校等と連携する場合に活かすことができる。このような活動に取り組む団体(多面的機能支払活動等)が多く現れており、農村振興リーダー研修等のテキストに反映されている。
図表1 237586-1.gif
図表2 237586-2.gif
図表3 237586-3.gif
図表4 237586-4.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2015/15_082.html
カテゴリ 水管理

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