タイトル |
ユリとチューリップの花弁の柔細胞では表皮細胞より早く老化が進行している |
担当機関 |
(国)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所 |
研究期間 |
2013~2015 |
研究担当者 |
望月寛子
仁木朋子
渋谷健市
市村一雄
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発行年度 |
2015 |
要約 |
ユリおよびチューリップ花弁では、表皮細胞に比べ柔細胞において早期から老化が進行している。柔細胞では外観上の老化が認められる前にDNAの断片化、細胞の崩壊等が認められる。
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キーワード |
柔細胞、老化、ユリ、チューリップ
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背景・ねらい |
花弁には表皮組織と柔組織が存在するが、組織間の老化進行の違いはこれまで十分に検討されてこなかった。本研究ではユリおよびチューリップの花弁(内花被)から表皮細胞と柔細胞を別々にサンプリングし、老化進行様式の違いを比較検討する。
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成果の内容・特徴 |
- OTハイブリッド系ユリ「イエローウィン」は開花後6日目から退色が生じ、8日目に落弁する(図1)。
- 「イエローウィン」表皮細胞は開花7日目に一部の細胞で崩壊が認められるが(図2左)、落弁するまでに細胞数に明らかな減少は認められない(図2右)。柔細胞は花弁の退色等が認められる前の開花2日目から細胞が崩壊し(図2左)、細胞数の減少も始まる(図2右)。
- 「イエローウィン」表皮細胞では老化の指標であるDNA断片化が開花5日目から認められるのに対し、柔細胞では2日目から顕著になる(図3)。タンパク質量は表皮細胞では開花5日目から、柔細胞では1日目から減少する。
- 一部のヌクレアーゼ遺伝子、プロテイナーゼ遺伝子は「イエローウィン」柔細胞において表皮細胞よりも早く発現量が上昇する。
- チューリップ「イルデフランス」でも同様に、花弁に外観上の老化が認められる前から柔細胞で細胞の崩壊が観察される。DNA断片化、タンパク質量の減少は表皮細胞に比べ柔細胞において早期に観察される。
- 以上から、ユリおよびチューリップ花弁の柔細胞では表皮細胞よりも早く老化が進行している。早期進行する柔細胞の老化は花弁に退色や萎凋が認められる前に始まる。
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成果の活用面・留意点 |
- 実験材料には蒸留水に生け、23℃、相対湿度70%、光量子束密度10 μmol m-2 s-1、日長12時間の環境条件下で保持した切り花を供試した。
- 花弁の表皮細胞と柔細胞で老化様式が異なることが示され、新しい品質保持技術の開発に有用な情報になる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/flower/2015/flower15_s05.html
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カテゴリ |
チューリップ
品質保持
ゆり
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