ウシ体外成熟卵子の液状保存温度は25℃が発生能維持に有効である

タイトル ウシ体外成熟卵子の液状保存温度は25℃が発生能維持に有効である
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2014~2015
研究担当者 ソムファイタマス
的場理子
下司雅也
Suttirojpattana Tayita
永井卓
発行年度 2015
要約 ウシ体外成熟卵子を10%新生仔ウシ血清添加HEPES緩衝TCM199液中で20時間液状保存する場合、卵子の発生能および得られた胚盤胞期胚の品質面から25℃が有効な保存温度である。
キーワード ウシ、成熟卵子、保存、温度
背景・ねらい 多排卵誘起処置後に採取するウシ体内成熟卵子を用いた体外受精により、効率的な胚生産が可能であるが、同時に採取される未成熟卵子を有効活用するためには体外成熟・受精・培養を別途行う必要がある。未成熟卵子の体外成熟に要する20時間程度成熟卵子を保存することができれば体外受精を一度に行うことが可能となり、より効率的な胚生産が可能となる。しかし、ウシ成熟卵子を38.5℃で5時間以上液状保存すると、その発生能が低下することが知られている。マウス卵子の保存では、保存温度を15℃に下げると48時間の保存が可能であるとの報告があるが、ウシ卵子の液状保存に有効な保存温度についての報告は無い。そこで、本研究では、ウシ体外成熟卵子をその発生能を低下させることなく20時間保存できる手法を確立することを目的とした。
成果の内容・特徴
  1. ウシ体外成熟卵子を10%新生仔ウシ血清添加HEPES緩衝TCM199液中で20時間、4℃、15℃、25℃、あるいは38.5℃で保存する。保存後に卵子の体外受精および発生培養を行う。
  2. 25℃あるいは38.5℃で保存した場合に、4℃保存と比較して有意に高い胚発生率が得られる。しかし、38.5℃で保存すると細胞数を指標とした胚の品質が低下し、多精子受精および極体放出不全が観察される(未発表データ)。ところが、25℃では胚の品質低下はない。
  3. 卵子を保存した全てのグループで、保存温度に関係なくグルタチオン濃度が低下する(図1)。卵子を25℃以下で保存する場合、ATP活性が低い卵子、アポトーシスを示す卵子および細胞膜がダメージを受けた卵子の割合が増える(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 新鮮卵子と同等の胚盤胞期胚への発生率が得られる保存システムのさらなる改善が必須である。そのため、グルタチオン濃度の低下、高い多精子侵入率および極体放出不全率などの異常受精を改善する必要がある。
図表1 237713-1.gif
図表2 237713-2.gif
図表3 237713-3.gif
図表4 237713-4.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2015/nilgs15_s18.html
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