塩味増強効果のある食品素材の探索

タイトル 塩味増強効果のある食品素材の探索
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2011~2015
研究担当者 河合崇行
日下部裕子
安室憲一
足立謙次
安部忍
浜口隆
発行年度 2015
要約 山椒様の痺れ感を呈し塩味を強める作用があることが知られているオランダセンニチの主成分スピラントールに、アルギニン塩酸塩を適量加えることにより塩味増強効果が顕著に強まり、50%近くの減塩が期待できる。
キーワード 減塩、塩味増強剤、香辛料
背景・ねらい 高血圧症を始めとする生活習慣病の予防に向け、世界規模での減塩活動が進んでいる。しかし、食塩は飲食物に塩味を付与して味を調える重要な調味料であり、減らすと美味しさも失ってしまう。ナトリウム塩をカリウム塩やマグネシウム塩に置き換える方法や、アミノ酸や有機酸、核酸を添加して味を調える方法が実用化されているが、雑味を呈したり塩味とは異なった風味に仕上がったりすることから、新たな塩味増強剤の開発が待ち望まれている。本研究では、純粋な食塩水への塩味増強にも利用でき、食品への塩味増強にも利用できる食品素材を探索するべく、食品素材の組み合わせ実験を行う。
成果の内容・特徴
  1. オランダセンニチは、辛味成分であるスピラントールを含有しており、野菜として食されている他、スパイスやハーブ、食品用香料として飲食品に利用されている植物である。オランダセンニチの花頭乾燥品より主成分である既知の塩味増強香辛料であるスピラントールを精製する。精製スピラントールに様々な物質を加えて、塩味増強効果の強さを調べたとき、アルギニン塩酸塩を添加するとスピラントールの塩味増強作用が強くなる。
  2. 粗精製スピラントールとアルギニン塩酸塩を混和したものを塩味増強剤として準備し、市販のコンソメスープ、インスタント味噌汁、麺つゆ、カレースープに添加し、添加する前のものより塩味が強く感じられるかどうかをヒト官能試験によって調べる。すべての食品において塩味増強剤を添加した食品の方に塩味の強さを感じた人数の方が多くなる(図1)。
  3. 塩味増強効果の大きさを数値化するため、図2に示す装置を用いて、塩味嗜好マウスを用いた行動学実験を行う。精製スピラントールにアルギニン塩酸塩を混和したものは、もとの食塩水の塩味を2倍近くまで強く感じさせることが可能である(図3)。食品に適応した場合、レシピによっては50%減塩が可能となる。
  4. 塩味増強剤として、日本国内特許およびPCT国際特許の出願中である。
成果の活用面・留意点
  1. 実用に供することのできる塩味増強剤である。本塩味増強剤は、うま味を添加して味を調える従来型の塩味増強物質と異なり、汎用的に使用することができる。
  2. ヒトとよく似た塩味嗜好性を示すマウスの行動学を利用して、塩味の強度や増強効果の大きさを客観的に数値化することができる。マウスのデータであるため、単独では訴求力を持たないが、ヒト官能試験を力強くサポートするデータとなる。
図表1 237773-1.gif
図表2 237773-2.gif
図表3 237773-3.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nfri/2015/nfri15_s18.html
カテゴリ 乾燥

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