タイトル |
トウモロコシ子実サイレージ(ハイモイスチャーシェルドコーン)の飼料特性と乳生産 |
担当機関 |
(国)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
2010~2015 |
研究担当者 |
大下友子
青木康浩
根本英子
上田靖子
青木真理
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発行年度 |
2015 |
要約 |
トウモロコシ子実サイレージ(ハイモイスチャーシェルドコーン)の飼料特性と乳生産
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キーワード |
ハイモスチャーシェルドコーン、栄養価、普通コンバイン、乳牛
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背景・ねらい |
わが国の畜産業が持続的に発展していくには濃厚飼料自給率の向上が必須であり、自給濃厚飼料として飼料用米等に加えトウモロコシ雌穂(イアコーン)サイレージ(ECS)生産利用が道内を中心に増加しつつある。ECSは低コストで生産できるが、輸入乾燥トウモロコシ子実より繊維含量が高く栄養価が低いため、現行の家畜生産性を維持向上するには、ECSよりも高栄養の濃厚飼料資源の確保が不可欠である。本研究では、ECSよりも高品質な自給濃厚飼料の低コスト生産に資する収穫調製技術体系の構築を目指し、小麦収穫で利用されている普通コンバインを用いてトウモロコシ子実を収穫し、未乾燥で密封保存したハイモイスチャーシェルドコーン(HMSC)の飼料特性と乳生産性を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- わが国の畜産業が持続的に発展していくには濃厚飼料自給率の向上が必須であり、自給濃厚飼料として飼料用米等に加えトウモロコシ雌穂(イアコーン)サイレージ(ECS)生産利用が道内を中心に増加しつつある。ECSは低コストで生産できるが、輸入乾燥トウモロコシ子実より繊維含量が高く栄養価が低いため、現行の家畜生産性を維持向上するには、ECSよりも高栄養の濃厚飼料資源の確保が不可欠である。本研究では、ECSよりも高品質な自給濃厚飼料の低コスト生産に資する収穫調製技術体系の構築を目指し、小麦収穫で利用されている普通コンバインを用いてトウモロコシ子実を収穫し、未乾燥で密封保存したハイモイスチャーシェルドコーン(HMSC)の飼料特性と乳生産性を明らかにする。
- 同一圃場で生産したHMSCはECSよりも、乾物(DM)、粗タンパク質(CP)およびデンプン含量が高く、繊維含量が低く、TDN含量は14.3ポイント高い。圃場からの栄養収量をECSと比較すると、原物収量で約7割であるものの、DM収量は約8割、TDN収量は約9割で、デンプン収量はほぼ同じとなる(表2)。
- 粗飼料源を牧草サイレージ(出穂期刈ペレニアルライグラス主体1番サイレージ、DM中CP含量:15%)として同一圃場で生産したECS、HMSCおよび乾燥子実を混合調製したTMR(粗濃比約60:40)を泌乳牛(平均乳量35.5kg)に給与しても、乳量、乳成分に有意な差は認められない(表3)。
- 以上の結果から、普通コンバインで収穫したトウモロコシ子実を粉砕・密封すれば、乳酸菌等を添加することなく良質なサイレージが調製できること、TDN収量はECSの約9割であること、乳生産性に対する効果は乾燥穀実と同程度であり、輸入トウモロコシの代替率をECSより高められることが示唆される。
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成果の活用面・留意点 |
- 濃厚飼料向けトウモロコシの生産利用を考える耕種農家および利用者である畜産農家が、所有機械等諸条件を考慮し収穫調製方法を選択する際の有益な情報となる。
- 2012年および2014年に北農研圃場(約4ha)を供し実施した収穫調製試験と当センターで実施した飼養試験の成果である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/harc/2015/harc15_s10.html
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カテゴリ |
イアコーンサイレージ
乾燥
飼料用米
低コスト
とうもろこし
乳牛
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