トウモロコシ子実主体サイレージ(HMSCおよびCCM)の生産利用技術

タイトル トウモロコシ子実主体サイレージ(HMSCおよびCCM)の生産利用技術
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2010~2016
研究担当者 青木康浩
根本英子
上田靖子
青木真理
滑川拓朗
多田慎吾
大下友子
発行年度 2016
要約 普通コンバインで収穫したトウモロコシ子実や芯入り子実を粉砕密封すると良質なハイモイスチャーシェルドコーン(HMSC)やコーンコブミックス(CCM)が調製できる。TDN含量はそれぞれ93、87%で、イアコーンサイレージより14、8ポイント高い。
キーワード ハイモスチャーシェルドコーン、コーンコブミックス、栄養価、普通コンバイン
背景・ねらい 飼料用トウモロコシの雌穂を収穫調製するイアコーンサイレージ(ECS)の生産利用技術が道内を中心に普及しつつある。ECSは輸入濃厚飼料の代替として乳肉用牛へ利用できるものの、輸入トウモロコシに比べ栄養価が低く、家畜生産性の維持と飼料自給率向上の両立には、より高栄養の濃厚飼料資源の確保が求められている。また、ECSの収穫に用いる自走式フォレージハーベスタは畜産関係のコンタラクタ組織が所有する場合が多く、耕種農家が生産に取り組む場合、作業委託経費が発生する。一方、小麦収穫に利用される普通コンバインを用いてトウモロコシ子実あるいは芯入り子実を収穫し、ECS同様未乾燥でサイレージとして調製できれば、ECSよりも高栄養な濃厚飼料が低コストで生産できる。そこで、実証現地における普通コンバインとフレキシブルコンテナを利用したトウモロコシ子実主体サイレージの収穫調製作業の作業能率を明らかにするとともに、ハイモイスチャーシェルドコーン(HMSC)の乳生産性に対する効果並びにコーンコブミックス(CCM)の収量性と飼料特性を明らかにし、ECSよりも高栄養な濃厚飼料の生産利用技術を提示する。
成果の内容・特徴
  1. 完熟期のトウモロコシ子実または子実と芯をスナッパヘッド(雌穂収穫専用コーンヘッダ)装着の普通コンバインで収穫し、ハンマーミル型粉砕機(10mmメッシュ)で粉砕後、フレキシブルコンテナ(フレコン)バッグに密封梱包することでHMSCまたはCCMが調製でき、その作業能率は収穫作業で0.6ha/h、調製作業は4.8t/hとなる(図1)。
  2. フレコンバックに密封梱包したHMSC、CCMのいずれもpHが4.0前後で、乳酸発酵したエタノールを含む良質なサイレージである(表1)。
  3. 同一圃場で生産したHMSCおよびCCMは、ECSよりも乾物(DM)やデンプン含量が高く、繊維含量が低い。可消化養分総量(TDN)含量(1飼料に羊4~6頭を配した4回の消化試験で査定)は、ECS(DM中79.0%)に比べHMSC(93.2%)で14.2ポイント、CCM(87.3%)で8.3ポイント高い。DM収量はECSに対してHMSCで約8割、CCMで約9割となり、TDN収量はいずれの飼料もほぼ同じとなる(図2)。
  4. 粗飼料を牧草サイレージとして同一圃場で生産したECS、HMSCおよび乾燥子実を混合調製した飼料(粗濃比約60:40)を泌乳牛(平均乳量35.5kg)に給与しても、乳量、乳成分に有意な差は認められない(表2)。
  5. 以上のように、トウモロコシ子実主体サイレージは、普通コンバイン、粉砕機、フレコン体系で収穫調製できる。また、HMSC、CCMはいずれもECSよりも高栄養であるため、自給濃厚飼料として輸入トウモロコシの代替利用が可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:濃厚飼料向けトウモロコシの生産に関心のある普通コンバインを所有する大規模畑作経営および自給濃厚飼料利用の意向を持つ畜産農家。
  2. 普及予定地域・普及予定面積:道内の大規模畑作地帯・300ha
  3. その他:本成果は、美瑛町および北農研(札幌市)での試験から得られた成績である。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/harc/2016/16_008.html
カテゴリ イアコーンサイレージ 乾燥 経営管理 小麦 飼料用作物 低コスト とうもろこし 肉牛 乳牛

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