長崎県壱岐市郷ノ浦町地先において観察された夏季の高水温と植食性魚類によるカジメ類の消失

タイトル 長崎県壱岐市郷ノ浦町地先において観察された夏季の高水温と植食性魚類によるカジメ類の消失
担当機関 (国研)水産研究・教育機構 西海区水産研究所
研究期間 2013~2015
研究担当者 清本節夫
門田 立
八谷光介
発行年度 2016
要約 2013 年夏季の高水温の後、カジメ類の成体は回復せずに消失したが、その次世代に当たる幼体は高密度で見られた。しかし、2015年秋までに、ほぼ全ての個体が植食性魚類による食害を受け、生存できない状態となった。この結果から、カジメ場が完全に消失する過程には、夏季の高水温による成体の消失だけではなく、その後の新規加入個体に対する植食性魚類の食害という段階が存在すると考えられた。
背景・ねらい 全国的に藻場の消失が問題となっており、その原因の一つとして地球温暖化に伴う水温の上昇が挙げられ ている。これまで高水温による衰退は報告例があるものの、その後の推移を詳細に調べた例はわずかである。 そこで、2013 年夏季に高水温により衰退しはじめたカジメ類(カジメ、クロメ)藻場の推移を観察した。
成果の内容・特徴
  1. 2013 年夏季には日本海南西海域や対馬海峡で例年よりも高い水温が記録された。そこで、長崎県壱岐市郷ノ浦町有安触鷹巣地先において潜水調査を継続して実施した。

  2. 2013 年の高水温により衰弱した成体は 2014 年 2 月にはほぼ全てが葉状部を失い、消失した。

  3. 2014 年 2 月には前年秋に芽生えた幼体が確認され、水深の深いほうで多い傾向があった(図1)。

  4. 2014 年 10 月から 2015 年 1 月の間に、水深 7~10m ではカジメ類の密度が大きく減少した(図2)。2015 年 1 月には、茎と付着器のみの個体の割合が高かったこと、現場でイスズミ類とアイゴが撮影されたことから(図3)、植食性魚類による食害が発生したと考えられた。
     
  5. 2015 年 12 月には、ほぼ全ての個体が茎と付着器のみとなった(図4)。このとき残存していた茎や葉状部には魚類の採食痕があったため、前年と同様に植食性魚類の食害が発生したと考えられた。 
     
  6. 2015 年末時点では、今回の調査地点より北側の対馬暖流の影響を強く受ける地域ではアラメ・カジメ類が消失し、暖流の影響の強くない南側では残存している状況にある。 
成果の活用面・留意点
  1. 夏季の高水温によってカジメ類の成体は衰退するが、秋の成熟期まで残存した葉状部から遊走子が供給され、次世代が加入するため、水温の直接的影響だけで直ちに藻場全体が消失するわけではない。加入した幼体が植食性魚類による食害を翌年以降も継続的に受けることにより藻場が完全に消失すると考えられた。 

  2. このことから、夏季の高水温の後に適切な植食性魚類の食害防除を行うことができればアラメ・カジメ場の維持や回復につながると考えられる。 

  3. 今後、有効な植食性魚類の食害防除方法の開発が急がれる。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=6107&YEAR=2016
カテゴリ 病害虫 防除

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