3種類のADCPを用いた万石浦水路における通過流量の定量化

タイトル 3種類のADCPを用いた万石浦水路における通過流量の定量化
担当機関 (独)水産総合研究センター 東北区水産研究所
研究期間
研究担当者
発行年度 2013
要約 東北地方太平洋沖地震に伴い海底地形の変化が懸念された万石浦において、3種類のADCP(超音波多層流速計)を用いた測流を行い、石巻湾と結ぶ水路の通過流量を明らかにした。通過流量は潮位の時間変化と高い相関を持ち、大潮期には600 m3s-1以上であった。計測された流速は、震災前と同程度であったが、地盤沈下の影響で流路断面が増加したことにより、震災前より流量が増加していることが推察された。
背景・ねらい 東北地方太平洋沖地震後、カキ母貝の生息が確認された万石浦から水路を通じて石巻湾に移送される種苗を効率的に採苗することが漁業復興のため急務であった。しかしながら、地震に伴う地盤沈下や津波の影響で、万石浦周辺の海底地形が変化していることが懸念されたことから、水路の通過流量を計測し、現状を把握する必要があった。万石浦は感潮域であることから、流量を正確に得るためには水路の断面における流速分布を測定することが不可欠である。そこで本研究では、ある高さにおける流速の水平分布を長期にわたって連続測定できるH-ADCP、ある位置における流速の鉛直分布を長期にわたって連続測定できる海底設置型ADCP(B-ADCP)、断面における流速分布が測定できるが観測回数が限られる曳航式ADCP(T-ADCP)の3種類のADCPを用いて万石浦水路における測流を行った(図1)。これらのADCPの特性をいかして、実測をよく再現する断面流速分布の長期的な連続推定値を取得し、これを用いて高い精度で通過流量の時間変動を明らかにした。
成果の内容・特徴 万石浦と石巻湾をつなぐ水路(図2)において2012年1月下旬~2月下旬にかけて3種類のADCPを用いた測流を行い、実態把握を行った。H-ADCPによる流速水平分布およびB-ADCPによる流速鉛直分布は水平および鉛直方向にほぼ一様の半日周期の往復流となっていた。これらの測流データから水路の横断面における流速分布を推定し(図3)、これを断面で積分することにより通過流量を推定した。推定流量をT-ADCPによって実測した流量と比較することにより検証したところ、推定流量は実測流量をよく再現しており、両者のRMSEは実測流量の絶対値平均値の14 %程度であった(図4)。通過流量は主として潮汐周期成分によって変動していたことから調和分解により調和定数を求めたところ半日周潮成分が卓越した。大潮最強流時における流量は600 m3s-1以上にもなり(図5)、大潮期の最大積算流量は万石浦の体積の25 %に相当していた。震災前の通過流量は不明であるが、本研究により震災前と同程度の流速が観測され、地盤沈下の影響で流路断面が増加したことにより、通過流量は震災前より大きくなっていることが推察された。
成果の活用面・留意点 通過流量の調和定数が求まったことから、通過流量が大きくなる時期、時間を精度よく予測することが可能となり、カキ幼生の万石浦から石巻湾への流出が最大となる積算流量最大時にあわせて採苗を行うなどの効率的な漁業に貢献する結果が得られた。
図表1 236267-1.jpg
図表2 236267-2.jpg
図表3 236267-3.jpg
図表4 236267-4.jpg
図表5 236267-5.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4493&YEAR=2013
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