早生で良食味、多収の暖地・温暖地向け水稲新品種候補系統「西海289号」

タイトル 早生で良食味、多収の暖地・温暖地向け水稲新品種候補系統「西海289号」
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2005~2016
研究担当者 片岡知守
竹内善信
田村克徳
佐藤宏之
田村泰章
坂井真
梶亮太
発行年度 2016
要約 「西海289号」は「キヌヒカリ」と同熟期の"かなり早"に属するうるち種である。「キヌヒカリ」より約10%多収である。玄米の外観品質が優れ、食味は良好である。関東以西での栽培に適する。
キーワード イネ、多収、良質、良食味、二毛作
背景・ねらい 近年、食生活の多様化にともない、外食あるいは中食で利用される業務用米の比率が高まっている。業務用米には、安価でかつ一定レベルの玄米外観品質および食味であることが求められる。一方、業務用米の生産が多い関東以西の稲野菜二毛作地域においては野菜跡栽培に適した早生品種の要望が多い。現在は「キヌヒカリ」等の品種が栽培されているが、近年の温暖化にともない玄米外観品質の低下が問題となっている。
そこで、農家の所得を確保しつつ、このような業務用米のニーズに応えるために、多収で良質・良食味であり、かつ野菜跡栽培も可能な耐肥性(耐倒伏性)と早熟性をもつ品種を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 「西海289号」は、耐倒伏性が強い「ふくいずみ」と早生で多収・良質・良食味の「越南208号」(後の「あきさかり」)を人工交配した後代から育成された(表1)。
  2. 福岡県筑後市における普通期・標肥栽培での出穂期は「キヌヒカリ」より2日、成熟期は5日遅く、暖地では"かなり早"に分類される(表1、図1)。静岡県森町における普通期・標肥栽培では、出穂期は「キヌヒカリ」より2日遅い(表1)。
  3. 稈長および穂長は「キヌヒカリ」よりやや長く、穂数はやや多い(表1)。
  4. 精玄米重は、「キヌヒカリ」に対して標肥では9%、多肥では14%多収である。静岡県森町における栽培では、「キヌヒカリ」より4%多収である(表1)。
  5. 耐倒伏性は「キヌヒカリ」並かやや劣る"やや強"である(表1)。
  6. いもち病真性抵抗性遺伝子型は"Pia、Pii"で、葉いもち圃場抵抗性は"中"、穂いもち圃場抵抗性は"やや弱"である。白葉枯病圃場抵抗性は"やや弱"で、縞葉枯病には罹病性である。穂発芽性は"中"である(表1)。
  7. 玄米の千粒重は「キヌヒカリ」よりわずかに重く、外観品質は「キヌヒカリ」より優れる。高温登熟耐性は "中"である(表1)。
  8. 「キヌヒカリ」と比較して、白米のアミロース含有率は同程度で、玄米蛋白質含有率は低い。炊飯米の食味は「キヌヒカリ」並かやや優れ、「コシヒカリ」および「ヒノヒカリ」に近い良食味である(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 耐倒伏性は"やや強"であるが、極端な多肥栽培は倒伏や食味の低下を招くおそれがある。また、いもち病および白葉枯病にやや弱いため、常発地での栽培は避ける。
  2. 暖地および温暖地の複合経営における二毛作の野菜跡作で利用可能で、静岡県で普及予定(約500ha)である。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/karc/2016/karc16_s06.html
カテゴリ いもち病 経営管理 縞葉枯病 新品種 水稲 抵抗性 抵抗性遺伝子 二毛作 品種 良食味

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