多収で極晩生の一季成り性イチゴ新品種候補「イチゴ盛岡36号」

タイトル 多収で極晩生の一季成り性イチゴ新品種候補「イチゴ盛岡36号」
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2008~2017
研究担当者 本城正憲
片岡園
由比進
塚崎光
細田洋一
對馬由記子
東秀典
伊藤篤史
山田修
鈴木朋代
佐藤友博
伊藤聡子
藤島弘行
山崎紀子
発行年度 2017
要約 一季成り性イチゴ盛岡36号は、極晩生で寒冷地・高冷地の半促成栽培および露地栽培に適する。1果重が大きく、果実の形は円錐形でよく揃うため商品果率が高く、収量が多い。痩果(種子)の浮きは発生しない。うどんこ病レース0に対して抵抗性である。
キーワード 一季成り性イチゴ、極晩生、低温カット栽培、露地栽培、新品種
背景・ねらい イチゴは生食用、業務用として年間を通して需要があるが、6月から11月にかけては生産量が落ち込み端境期となっている。東北地方や北海道などの寒冷地・高冷地では、その冷涼な気候を活かして、6月前後に果実を出荷する低温カット栽培などの半促成栽培や、露地栽培が行われ、イチゴの周年供給に寄与している。これらの作型において用いられている既存品種「北の輝」は、硬度が高く日持ち性は高いが、収量性ならびに痩果(種子)の浮きや収穫後の果皮色の黒変等の果実品質に改良の余地がある。また、「豊雪姫」は果実がやや柔らかく、「北の輝」とともに東北地方等で発生がみられるうどんこ病レース0に対して罹病性である。そこで、これらの点を改良した極晩生の一季成り性イチゴ系統を育成する。
成果の内容・特徴
  1. イチゴ盛岡36号は、2008年に「豊雪姫」に「さちのか」を交配した実生集団から選抜した極晩生の一季成り性系統であり、寒冷地・高冷地における低温カット栽培などの半促成栽培や露地栽培に適する。
  2. 草姿は立性で、草勢は強く大株となる(図1、表1)。
  3. 収穫始期は「北の輝」と同程度である(表1)。ランナー発生に必要な低温要求量は「北の輝」よりやや少ないため、ランナーの発生始期はやや早く、初夏に発生するランナー数は多い。
  4. 低温カット栽培および露地栽培のいずれにおいても、商品果収量は「北の輝」より多く、平均1果重は大きく、商品果率は高い(表2)。
  5. 果実は円錐で形の揃いに優れ(図1および表3)、乱形果や奇形果の発生は少ない。果皮色はやや橙赤~橙赤、果肉色は淡赤であり、収穫後の果皮色の黒変は見られない。痩果(種子)の着生位置を表す痩果深度は中(表皮並み)で、痩果の浮きは発生しない。果実硬度は中程度である。果実糖度は中程度、酸度はやや高く、食味は中~やや良である。
  6. 東北地方等で発生がみられるうどんこ病レース0に対して抵抗性(表1)、萎黄病に対しては罹病性である。
成果の活用面・留意点
  1. イチゴ盛岡36号は、農研機構東北農業研究センター、青森県産業技術センター野菜研究所、岩手県農業研究センター、秋田県農業試験場、山形県庄内総合支庁の共同研究(2012年~)を経て育成された系統である。
  2. 低温カット栽培における保温開始時期や低温遭遇量は「北の輝」に準ずる。
  3. 果実硬度は「豊雪姫」より高いが「北の輝」より低いため、適期収穫に努める。
  4. 平均1果重が大きく(表2)、栽培条件によっては極めて大きくなる。また、果実内部に空洞が発生することがある。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/tarc/2017/tarc17_s12.html
カテゴリ 萎黄病 いちご うどんこ病 栽培条件 出荷調整 新品種 抵抗性 品種 良食味

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