農商工連携の経済的パフォーマンス評価法

タイトル 農商工連携の経済的パフォーマンス評価法
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2014~2017
研究担当者 大西千絵
森嶋輝也
河野恵伸
発行年度 2017
要約 農商工連携による新商品開発の取組みを対象にした、経済的に発揮可能な能力である経済的パフォーマンスを評価するための新しい手法を開発した。この手法は、農商工連携の経済効果の評価に加え、経済効果の予測に用いることができる。
キーワード 農商工連携、新商品開発、経済的パフォーマンス、売上予測、GTYPE
背景・ねらい 農商工連携の取組みの中には、充分な売上が得られていないものがある。農商工連携の取組みに関して、どうすれば経済的メリットが増大するかを明らかにすることは、事業参加者と施策担当者の双方にとって有益なこととなる。そこで、既存の連携関係から得られる経済効果や、今後連携したい相手との経済効果を予測するための独自の手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 本評価法は、農商工連携の取組みの約7割を占める新商品開発を評価対象とする。従来の農商工連携の経済評価は、フードシステム上のバリューチェーンや、その波及効果を評価するものが主である。本評価法は、図1のようなネットワークを想定した評価法である点が特徴である。
  2. STEP1として、中核主体と連携相手kについて、連携関係の有無からプレミアムを推計する(図2)。中核主体が単独で商品開発を行った時の経済的メリットを1とし、連携することによりプラスアルファで得られる経済的メリットをプレミアムと定義する。連携相手kのプレミアムは、中核主体が単独で商品開発をした場合と、中核主体と連携相手kが連携して商品開発した場合の売上を比較して求める(図2の(1)式)。既存の売上がない場合は、単価・加工数量・販売数量等から計算した仮の売上を用いる。
  3. STEP2として、取組みにおける連携構造をGTYPEで整理する。GTYPEとは、連携ありを1、連携なしを0として、連携関係を整理したものである(表1)。
  4. STEP3として、利得を求める。本評価法では、利得を、ある連携グループの連携関係の組み合わせにおいて経済的に発揮可能な能力、つまり農商工連携の経済的パフォーマンスを示す指標として定義した。ひとつの表の中で利得の数値が相対的に大きいほど、経済的パフォーマンスの大きい組み合わせであると評価する。
  5. STEP4として、連携関係が変化した場合の売上の変化を予測できる。売上予測値の推計は、実際の売上と利得の数値の間のベキ乗近似曲線をもとに計算する。
  6. STEP3およびSTEP4の結果から、農商工連携の経済効果を推計し、取組みの改善策を検討することができる。例えば、表1のno.2の取組みでは、中核主体と一次加工業者(連携相手A)が連携しており、GTYPEは{1,1,0,0,0}、利得は2.84、実際の売上は236千円である。この取組みで製品加工業者(連携相手B)と連携すれば、連携関係はno.6(GTYPE={1,1,1,0,0}、利得=9.52)となり、売上は790千円に増加すると予測される。さらに、販売業者CとDとも連携してno.8の連携関係になれば、売上はさらに増加し2,489千円となると予測される。このように、具体的な売上の変化を具体的に示すことで、連携関係を見直すことができる。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究の成果に基づいて開発した6次産業化シミュレーターは、プログラム登録されており、無償で登録・利用することができる。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/karc/2017/karc17_s20.html
カテゴリ 加工 評価法

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