高血圧自然発症ラット大動脈の一酸化窒素受容体発現量に及ぼす茶品種の影響

タイトル 高血圧自然発症ラット大動脈の一酸化窒素受容体発現量に及ぼす茶品種の影響
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門
研究期間 2015~2017
研究担当者 野村幸子
物部真奈美
根角厚司
山本(前田)万里
発行年度 2017
要約 成分含量が異なる茶品種の摂取は、高血圧自然発症ラット大動脈の一酸化窒素受容体発現量に異なる影響を及ぼすことから、主要な生理活性成分であるガレート型カテキン以外の含有成分も、緑茶の血管機能調節効果に寄与している可能性がある。
キーワード :茶、高血圧自然発症ラット、一酸化窒素、NO受容体(可溶性グアニル酸シクラーゼ)発現
背景・ねらい 心血管疾患は我が国の主要な死亡原因の一つであり、血管機能を維持することは健康寿命の延伸につながる。国内の大規模コホート研究の結果から、心血管疾患による死亡率と緑茶の摂取量との間に負の相関があることが報告されているが、このメカニズムとして、主要な生理活性成分であるガレート型カテキン、特にエピガロカテキンガレート(EGCG)の関与が示唆されている。しかし、緑茶には他にも様々な生理活性成分が含まれており、それらの関与についてはほとんど研究されていない。緑茶の習慣的飲用による予防効果のメカニズムを解明するためには、緑茶に含まれる成分の複合的な効果についても検討する必要がある。そこで、フラボノイド類などの含有割合が異なる3品種「やぶきた」、「サンルージュ」、「そうふう」の浸出液を食塩負荷高血圧自然発症ラットに摂取させ、血管機能調節において重要な役割を果たしている一酸化窒素(NO)の関連因子に対する影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 各品種の茶浸出液をガレート型カテキンの量が一定(図1-a)となるように調製すると、品種によってその他の成分の含量に差がみられ、「サンルージュ」は、非ガレート型カテキンが少ないという特徴を持つ(図1-b)。一方、「そうふう」は、フラボノール配糖体の含量が比較的高い(図1-c)。
  2. NO受容体である可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の発現量は、血管の拡張反応を変化させることが知られているが、高血圧自然発症ラットの胸部大動脈において、食塩負荷により減少したsGCの発現量は、「やぶきた」あるいは「そうふう」の摂取により有意に増加する。一方、「サンルージュ」摂取群では水摂取群と比較してsGC発現量に有意な差はない(図2)。
  3. ガレート型カテキン以外の含有成分の構成に差がある品種により異なる効果が得られることから、EGCGなどのガレート型カテキンに加えて、他の含有成分も血管のNOシグナル伝達に影響を及ぼす可能性がある。
成果の活用面・留意点
  1. 緑茶には様々な品種があり、含有される成分は一様ではない。緑茶の飲用による血管機能調節系を研究する際には、ガレート型カテキン以外の成分を含めた複合的な影響を考慮する必要がある。
  2. NO受容体であるsGCの発現量に及ぼす影響が、実際に血管機能の維持に貢献しているかどうか明らかにするためには、さらなるエビデンスの蓄積が必要である。
  3. 成分分析の結果から、非ガレート型カテキンやフラボノール配糖体などの寄与率が大きいと考えられる(図1)が、他の関与成分の存在も考えられる。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nifts/2017/nifts17_s21.html
カテゴリ 品種

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