乳量と体細胞スコアの利用で泌乳期間中の生存率(PSR)の改良速度が向上

タイトル 乳量と体細胞スコアの利用で泌乳期間中の生存率(PSR)の改良速度が向上
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門
研究期間 2011~2017
研究担当者 佐々木修
西浦明子
武田尚人
相原光夫
発行年度 2017
要約 泌乳期間中の生存率(PSR)を改良すれば、供用期間を延長できる。遺伝的能力推定の正確度の向上により、PSRの改良速度が上昇する。乳量と体細胞スコア(SCS)の利用によりPSRの改良速度が1.3倍になる。
キーワード 乳用牛、供用期間延長、乳量、体細胞スコア、遺伝的能力評価
背景・ねらい 現在、国内乳用牛の、長く飼養することができる能力を示す供用期間の評価は、84カ月齢までの供用期間により評価されており、過小評価を避けるために誕生後84カ月を経過していない個体の途中記録を利用しない。そのため、交配に多く利用される若い種雄牛の娘の記録が利用できず、正確な遺伝的能力評価が困難である。そこで、変量回帰モデルを利用して、毎月の検定日に個体が牛群内にいるかどうかの情報で、早期に在群性の遺伝的能力を評価できる泌乳期間中の生存率(PSR)を開発した(2015年度研究成果情報http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2015/nilgs15_s12.html)。PSRの遺伝的能力評価値は、強い遺伝的関係を持つ形質の情報を利用して評価精度を高めることができる。そこで、本研究では多形質変量回帰モデルを用いて、PSRとの強い遺伝的関係を持つ形質として、除籍の原因と考えられる検定日乳量とSCSについて、PSRとの遺伝的関係を明らかにする。さらに、これらの情報を用いたときの遺伝的能力評価精度である正確度の向上効果を明らかにし、PSR改良への効果を推定する。
成果の内容・特徴
  1. PSRと検定日乳量には、泌乳初期に弱い正の、泌乳後期に強い正の遺伝相関がある(図1)。農家は泌乳後期に乳量の多い牛を残そうとする。
  2. PSRと検定日SCSには、泌乳初期から強い負の遺伝相関がある(図2)。農家は泌乳中いつでもSCSの高い牛を淘汰しようとする。
  3. PSRの遺伝的能力推定の正確度は、PSR単独より、検定日乳量を利用することで泌乳後期に、検定日SCSを利用することで泌乳中期に上昇する。また、検定日乳量とSCSの両方を用いると、乳期全体で上昇する(図3)。
  4. 分娩後305日目のPSRの遺伝的能力推定の正確度は、PSR単独で0.67、検定日乳量を利用した場合0.75、検定日SCSを利用した場合0.82、両方を利用した場合0.86である、両方を利用すると利用しないときの1.3倍になる。
  5. 正確度の上昇は、選抜による遺伝的改良速度の向上に繋がることから、検定日乳量と検定日SCSの情報を利用することで、分娩後305日目におけるPSRの遺伝的改良速度は1.3倍程度と期待できる。
成果の活用面・留意点
  1. 2004~2013年に牛群検定記録がある205,556頭の雌牛の記録を解析した。
  2. PSRによる在群性評価は、初産時からデータを利用することができるので、早期に改良を進めることができる。
  3. 多形質変量回帰モデルは、現在、乳量、乳脂量の評価に利用されているモデルに近く、PSRへの応用が容易である。
  4. 検定日乳量とSCSは、牛群検定で収集されており、利用が容易である。
  5. PSRは生存率であるため、総合指数作成のために供用期間に評価値を変換する必要がある。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nilgs/2017/nilgs17_s01.html
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