急傾斜草地の除染のための安全な草地更新作業体系

タイトル 急傾斜草地の除染のための安全な草地更新作業体系
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門
研究期間 2013~2017
研究担当者 栂村恭子
伊吹俊彦
喜田環樹
中尾誠司
平野清
國分洋一
遠藤潤
発行年度 2017
要約 一般の乗用トラクタで除染作業が困難とされている15~30°の急傾斜草地を無線操作の低重心トラクタで草地更新を行う。牧草の放射性セシウムは未除染の37~78%に低減する。実証地における一連の草地更新の作業時間は、10a当たり4.05時間である。
キーワード 急傾斜草地、除染、草地更新、無線傾斜地トラクタ
背景・ねらい 放射性物質で汚染された草地では除染として草地更新が実施されている。しかし、急傾斜草地では、トラクタによる機械作業が困難であり、安全に草地更新可能な作業体系の開発が求められる。そこで実証試験を通じて、無線傾斜地トラクタを核とした急傾斜草地の安全な草地更新手法を構築する。
成果の内容・特徴
  1. 無線傾斜地トラクタ(クボタ:AMX-7、現在は筑水キャニコムで販売:CG670)は、河川敷の草刈り用に利用されており、操作に特別な資格は不要である。最大100m離れて操作でき、無線が届かないと自動停止する。このトラクタに4つの作業機を組み合わせて、一連の草地更新作業を実施する。フレールモーア(標準装備)で前植生の刈払い、ブロードキャスタで土壌改良資材や肥料の散布、ロータリで耕うん、ブロードキャスタで播種、ローラで鎮圧を行う(図1)。等高線、上り、下りいずれの方向でも作業が可能である。
  2. 牧草の放射性セシウムの低減効果を3カ所の試験草地で調べた結果では、草地更新しなかった場合に比べて37~78%に低下する(図2)。低下が不十分な草地Cは、土壌中の交換性カリが約10mg/100gと低く、適切なカリ対策を合わせて実施することが必要である。
  3. 4カ所の急傾斜草地の実規模での平均所要時間は、10a当たり刈払い0.88時間、土壌改良資材散布0.5時間、肥料散布0.37時間、耕うん1.55時間(ロータリ2回掛け)、播種0.36時間、鎮圧(1カ所のみ実施)0.39時間である(表1)。
  4. 耕うん爪に20cm前後の石が挟まり、頻繁に耕うん作業が中断した草地では、10a当たりの耕うんに(2回掛け)の作業時間は2.78時間を要し、石礫により作業能率が落ちる場合がある。4カ所の実証草地はいずれも石礫があったが、耕うん爪が破損する事例はなく、石礫が多い圃場への対応性が高い。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:公共牧場、農協、農業公社
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:乗用のトラクタで作業が困難な30°までの急傾斜草地。
  3. その他:除染が必要な急傾斜草地の草地更新作業として採用され、宮城県、福島県、栃木県の公共草地で適用されており、安定的な作業は30°までを目安とする。除染だけでなく、急傾斜草地の施肥や掃除刈りの維持管理の作業へ活用できる。無線傾斜地トラクタによる草地更新作業の手引きと作業動画、ロータリの性能は2012年度普及成果情報として、農研機構のサイトで閲覧できる(http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2012/510b0_03_75.html)。無線傾斜地トラクタおよび作業機は筑水キャニコムが販売している。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/popular/result040/2017/17_078.html
カテゴリ 肥料 傾斜地 施肥 土壌改良 播種 肥料散布

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