画像解析による作物形質評価のための入力画像データ正規化法の開発

タイトル 画像解析による作物形質評価のための入力画像データ正規化法の開発
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門
研究期間 2013~2017
研究担当者 土生芳樹
小川大輔
田口文緒
松永朋子
松永幸大
発行年度 2017
要約 圃場等栽培現場での非破壊的な作物画像データの取得において、光や影の影響を排除した一定の画像を取得することにより、ストレス耐性等有用農業形質の定量的解析の精度を向上するとともに、一般農業者が簡便に使える作物健康診断技術の開発につなげる。
キーワード 作物健康診断、非破壊的撮像、画像データ正規化、画像解析、一般農業者
背景・ねらい 作物の生育状態評価は、病害被害の早期対応や施肥の判断等に必須だが、一般農業者による現場での評価には高度な知識や経験が必要とされ、正確な評価・対応は困難である。一般に作物の病害や環境ストレスによるダメージの評価は、(1)特定の病害・ストレス条件下での生存個体数のカウント、(2)病徴やダメージの主観的評価、(3)最終的な収量やバイオマスの定量などにより行われるが、(1)は弱いストレスや耐性の評価が困難であり、(2)は観察者により判断が異なり、(3)は時間と大規模施設を必要とするなどの問題がある。本研究は、圃場等で生育する作物のストレス耐性等を非破壊的・客観的・定量的・安定的・簡便に評価するためのシステムの基盤技術の確立を目指したものである。
開発の第一段階としてダイズの病害抵抗性を取り上げ、栽培現場で非破壊的に取得した葉色および病徴データを解析・評価するシステム開発し、効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. モバイルPCに接続した軽量型スキャナにより、作物栽培現場において対象作物葉を非破壊的に撮像した。図1に示す通り、デジタルカメラ等による通常の撮像法で得られた画像データは環境要因の影響により定量解析が困難だが、スキャナにより得られた画像は、正規化された画像データとして色強度を定量解析することができる。また、図1CおよびDに示す通り、葉の形状についても実際の形状データを正しく取得できる。
  2. 確立した正規化画像取得法の検証を目的として、栽培現場で非破壊的に撮像したダイズ葉焼病の病斑葉の正規化画像データについて画像解析ソフトウェア(ImageJ)による画像解析を行うと、図2に示す通り、本法は葉焼病の褐色病斑と黄色ハロー領域を別々に検出できる。
  3. 検出された病徴面積及び病斑数を定量的解析において、図3に示す通り、葉焼病抵抗性系統と罹病性系統の間に有意な差が認められ、本法が非破壊的・客観的・定量的な病害抵抗性解析に有効であることが示される。
成果の活用面・留意点
  1. これまでは対象作物の一部を切り取って研究室に持ち込み、スキャナにより画像取得を行うことが一般的だったが、対象の変形や退色などの問題があり、多数の対象の解析は困難だった。本法により、多数の画像データを栽培現場で非破壊的に取得することが可能になる。
  2. 本法を用いることで、作物葉の病斑のような2種類以上の変色域の面積を個別に検出し、定量評価することができる。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nias/2017/nias17_s03.html
カテゴリ 診断技術 施肥 大豆 抵抗性 病害抵抗性

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