図像資料を用いて江戸時代の土地利用を復元する

タイトル 図像資料を用いて江戸時代の土地利用を復元する
担当機関 (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 岡本 透
発行年度 2018
要約 江戸時代から現代にかけての数百年にわたる植生と土地利用の変遷を推定するため、過去の絵画や写真など複数の図像資料を比較しました。その結果、これらの図像資料を時系列で整理することで、景観の変遷を正確に復元することができました。
背景・ねらい 気候変動に対する土壌炭素蓄積量の変動を精度高く予測するには、過去の土地利用の影響を予測モデルに反映することが必要です。そこで、デジタルアーカイブを中心とした図像資料を収集し、過去数百年にわたる土地利用の変化を復元する手法を確立しました。江戸時代の浮世絵のような絵画では、できるだけ多くの資料を収集し、それらの描写を比較することで、当時の植生や土地利用を正確に復元することができました。さらに、絵画資料と同じ場所で明治以降に撮影された写真を収集しました。このようにして収集した図像資料を時系列で整理することで、江戸時代から現在までの土地利用を明らかにすることができました。
成果の内容・特徴 なぜ昔の土地利用を調べるのか
 土壌は地球温暖化に関わる炭素の貯留場所として重要な役割を果たしています。そのため、将来の気候変動に対する土壌炭素蓄積量の変動を精度高く予測することが求められています。将来予測に用いられる土壌炭素蓄積量の実測値は、有機物の供給源である植生の変遷に影響を受けています。このため、気候変動に対する土壌炭素蓄積量の変動を精度よく予測するには、過去の土地利用の変遷を明らかにし、予測モデルに反映することが必要です。そこで、過去数百年にわたる土地利用の変化を、歴史資料の一つである絵画、絵図、写真などの図像資料を用いて復元できるかどうか試みました。
図像資料を効率よく集めるには

 図像資料は、各地の公文書館、図書館、博物館、美術館などに所蔵されています。近年、図像資料のデジタルアーカイブ化がこのような施設で積極的に進められています。日本国内では国立国会図書館、海外ではニューヨーク公共図書館などにおいて知的財産権の消滅した資料が多数公開されています。こうしたデジタルアーカイブを利用することで、図像資料を効率よく集められることが分かりました。
浮世絵の表現を確かめるには
 江戸時代の山の状態を知るためによく使われる図像資料が浮世絵です。ただし、実景をそのまま写した写真とは異なり、版画である浮世絵の描写は簡略化や強調化がされているのではないか、という疑いがあります。浮世絵の資料性を高めるには、複数の資料を収集し、それらの描写を比較することが必要です。さらに、村絵図、街道絵図、裁許絵図などの作成目的の異なる絵画資料との比較も、浮世絵の資料性を高めるために有効です。江戸時代後期以降の浮世絵の描写は、当時の山の多くが樹木の少ない状態であったことを示していました。ただし、その山肌が裸地なのか、それとも草地なのかは、慎重に判断する必要があることが分かりました。
数百年にわたる土地利用の変化
 明治時代以降、写真技術の普及と私製葉書の認可が進むに連れて、日本各地を撮影した写真や風景絵葉書の数は急激に増えていきました。実景を写した図像資料を手に入れることができれば、当時の山の状態を復元することができます。同じ場所を対象にした江戸時代の絵画資料、明治時代以降の写真、現在の写真を時系列順に並べ、比較することにより、過去数百年にわたる土地利用の変化を明らかにすることができました。この研究の成果は、過去の植生が土壌炭素蓄積に与えた影響の評価につながります。今後、さまざまな地域でこの方法を適用し、将来の土壌炭素蓄積量の変動の予測向上に活かしていきます。
研究内容 https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2018/documents/p12-13.pdf
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