タイトル |
水稲、麦、大豆、牧草などに対応し、高速点播が可能な高速高精度汎用播種機 |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農業技術革新工学研究センター |
研究期間 |
2015~2017 |
研究担当者 |
塚本茂善
重松健太
橘保宏
藤岡修
山下貴史
山田祐一
松波寿典
内野宙
新家得正
有吉映明
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発行年度 |
2017 |
要約 |
1台で水稲、麦、大豆、そば、トウモロコシ、牧草など様々な作物に対応可能な播種機である。水稲、麦、そばでは5~10km/hの高速播種が可能で、乾田直播では点播を実現する高精度な播種が可能である。
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キーワード |
高速作業、乾田直播、点播、不耕起、簡易更新
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背景・ねらい |
担い手への農地の集積が進む中、生産現場では一層の作業の高速化や省力化、高精度化が求められている。平成26年に農林水産省が実施した「新たに開発してほしい担い手向けの農業機械に関する調査」の中でも、播種機に対しては高速化や点播、不耕起への対応など多数の要望が寄せられている。そこで水稲、麦、大豆等の多様な作物に対応するとともに、作業速度が速く、点播が可能で、不耕起栽培にも適応可能な播種機を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 開発機は、播種ユニットと施肥ユニットから構成されるトラクタ装着型の機械である(図1、表1)。6条用と8条用があり、水稲、麦、大豆、そば、トウモロコシ、牧草などの作物に対応可能で、条間30cm(トウモロコシでは条間75cm)の栽培様式に対応する。
- 播種ユニットは、圃場面を切削するコールタ、播種溝を作る作溝爪、高速播種が可能な種子繰出装置、播種溝に覆土する土寄せ装置、鎮圧輪、種子繰出装置を駆動する接地輪から構成される。
- 種子繰出装置は、高速・高精度に種子を繰出すことが可能なダブルプレート式を採用しており、播種プレートを交換することで容易に様々な作物に適応が可能である(2011年度普及成果情報「高速作業が可能な不耕起対応トウモロコシ用播種機」http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/brain/2011/600a0_01_63.html参照)。
- 播種ユニットは、接地荷重が変更可能(500~1,200N)であり、接地荷重を高めることで、不耕起ほ場にも適応可能である。
- 施肥ユニットは速度連動型で、トラクタのバッテリを電源としたモータにより駆動する。上記接地輪の回転をロータリエンコーダで検出することにより、作業速度に連動して肥料繰出ロールの回転速度を制御し均一に施肥することが可能である。また、条毎に前後独立した2つの繰出し部を有しており、それぞれに施肥量(肥料の繰出し量)を設定することができる。播種と同時に、表層と溝内の両方あるいは表層、溝内のどちらか一方だけに施肥も可能である。
- 開発機は、水稲では約5~10km/h、麦類では約7~9km/h、大豆では約5~7km/hの高速で播種することが可能である。水稲の乾田直播では作業速度5km/h程度で高精度な点播が可能であり、大豆では出芽後の株間のばらつきが従来機よりも小さく播種精度が高い(表2、3)。また、前作の残さや石が少ないなどの条件下で、不耕起栽培にも適応できる。
- 水稲の播種における作業能率は、作業速度5km/hの時、6条用で50~60a/h、8条用で70~80a/hである(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:水田作・畑作を複合経営する農業者及びコントラクタ
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国の複合経営体、5,000ha([水稲乾田直播、麦、大豆、トウモロコシの合計栽培面積]×1%[導入率]、200台(5年間)
- その他:平成31年度に市販化予定である。適応トラクタは6条用で44kW(60PS)、8条用で59kW(80PS)以上である。施肥ユニットについてはオプション対応の予定である。なお施肥ユニット装着時はフロントウェイトを装着するなど留意する必要がある。
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/popular/result080/2017/17_016.html
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カテゴリ |
肥料
乾田直播
経営管理
市販化
省力化
水田
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施肥
そば
大豆
とうもろこし
播種
不耕起栽培
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