ゲノム編集によって作出された高オレイン酸・低リノール酸米

タイトル ゲノム編集によって作出された高オレイン酸・低リノール酸米
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門
研究期間 2014~2018
研究担当者 雑賀啓明
阿部清美
荒木悦子
鈴木保宏
土岐精一
発行年度 2018
要約 CRISPR/Cas9を利用して、オレイン酸からリノール酸への不飽和化を触媒する酵素遺伝子OsFAD2-1を破壊することにより脂肪酸組成を改変できる。OsFAD2-1破壊イネ系統では、種子のオレイン酸含有率が顕著に増加し、リノール酸含有量が検出限界以下まで低下する。
キーワード イネ、脂肪酸、ゲノム編集、遺伝子破壊、代謝改変
背景・ねらい こめ油はビタミンEやγ-オリザノール等の健康機能性成分を多く含み、脂肪酸組成のバランスが良い植物油である。脂肪酸のうち、オレイン酸はFatty Acid Desaturase 2(FAD2)によってリノール酸に不飽和化される。オレイン酸は健康によいこと、また、脂肪酸の不飽和度が高まると油が酸化されやすくなること等から、これまでに、ゲノム編集を利用してFAD2遺伝子を破壊し、オレイン酸含有率を増加させ、リノール酸含有率を減少させたダイズ等が開発されている。
そこで本研究では、イネのFAD2遺伝子のうち、種子で発現量が高いOsFAD2-1遺伝子に着目し、人工制限酵素CRISPR/Cas9によって破壊することにより、オレイン酸含有率が高く、かつリノール酸含有率が低い米を作出する。
成果の内容・特徴
  1. 人工制限酵素CRISPR/Cas9を利用し、脂肪酸組成を改変するために重要な遺伝子であるイネFAD2-1遺伝子に変異を導入する(図1)。得られた植物体では、標的部位に1塩基の挿入、または8塩基の欠失が確認され、いずれの変異体もFAD2の酵素機能が失われていることが予想される(図2)。
  2. FAD2-1遺伝子に変異がホモで導入された種子では、オレイン酸含有率が野生型の2倍以上(全脂肪酸に対して約80%)に増加する。一方、リノール酸含有量は検出限界以下まで低下する(図3)。
  3. FAD2-1遺伝子に変異がヘテロで導入された種子では、オレイン酸含有率が10%程度増加し、リノール酸含有率が10%程度減少する(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. FAD2-1遺伝子やその発現制御領域を精密に改変することにより、脂肪酸組成を必要に応じて改変できると考えられる。
  2. 他の生物で報告されているゲノムや形質等の情報を基に、作物の目的形質を改変するために必要な標的遺伝子を選抜し、ゲノム編集により標的遺伝子に変異を導入することが可能である。このストラテジーは、今後のゲノム編集を利用した形質改変に利用できると期待される。
  3. 今後は農業形質の特性評価を進めることを計画している。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nias/2018/nias18_s08.html
カテゴリ 機能性成分 大豆

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