タイトル | イアコーンサイレージ生産利用のための畑作経営と酪農経営の連携条件 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 | 2015~2019 |
研究担当者 |
久保田哲史 青木康浩 根本英子 |
発行年度 | 2020 |
要約 | 目標計画法によるシミュレーションの結果、経産牛飼養頭数100頭で経営面積42.5haの酪農経営と経営面積70haの畑作経営が連携した場合、イアコーンサイレージ(ECS)の価格が10a当たり5万500円、原物1kg当たり29.7円のとき耕畜連携によるECS生産利用が成立する。 |
キーワード | イアコーンサイレージ、目標計画法、酪農経営、畑作経営、耕畜連携 |
背景・ねらい | わが国の純国内産飼料自給率は長期にわたり26~28%の水準で横ばい傾向にあり、とくに濃厚飼料の自給率は11~14%と非常に低い状況にある。こうした事態の改善を目指し、北海道を中心にトウモロコシの雌穂部分を原料とした家畜向け濃厚飼料であるイアコーンサイレージ(以下、ECSと略)の生産と利用の拡大に向け、畑作経営がECSを生産し酪農経営が利用する耕畜連携という仕組みをECSの普及方法の一つと想定して現地試験を進めている。 そこで、本研究では目標計画法を用いて畑作経営と酪農経営を対象に飼料の経済性と利用可能な耕地面積を反映した耕畜連携モデルを作成し、モデルシミュレーションによってECSの生産と利用に関する耕畜連携が成立する条件を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1.作成した耕畜連携モデル(図1)を用いて、各種の前提条件(表1)を設定し、4通りの試算を行った。まず、酪農経営の経産牛飼養頭数が100頭で経営面積が50haの場合には、酪農経営は土地面積に余裕があるため、自ら生産したECSを含むTMRを利用したほうが経済的に有利になる。このため耕畜連携は実施されない(表2の試算1)。 2.つづいて、酪農経営の耕地面積が48haに減少した場合,酪農経営はイアコーンの必要量すべてを生産するためには土地が1.7ha不足する。また、畑作経営では、ECSの販売価格が10a当たり45,500円(原物1kg当たり26.8円)のときイアコーンは2ha導入可能となる。このとき、酪農経営では不足する1.7ha分のECSを同価格で畑作経営から購入することが経済性を有するため、1.7haの耕畜連携が実施される(表2の試算2)。 3.試算2の状態から、酪農経営の土地面積が42.5haへ減少したとき、酪農経営では必要とする7.2haのイアコーンを生産するための土地の余裕がなくなる。また、畑作経営でも2haがイアコーンの導入上限であり酪農経営の必要量を満たすことができず、耕畜連携は実施されない(表2の試算3)。 4.試算3の状態から、ECSの販売価格が10a当たり50,500円(同29.7円)に上昇すると畑作経営ではイアコーンを最大9.2ha導入可能となる。一方、酪農経営でもECSの10a当たり購入価格が50,500円に上昇した場合でもECSを畑作経営から購入した方が経済的に有利となるため、7.2haの耕畜連携が成立する(表2の試算4)。なお、ECS価格が51,600円/10a(同30.4円)まで上昇すると酪農経営における経済性がなくなるため、耕畜連携は不成立となる。 |
成果の活用面・留意点 | 1.国産濃厚飼料の普及促進を図る関連機関等で活用できる。 2.北海道における酪農経営と畑作経営を対象にした成果であり、都府県の酪農経営等に適用する場合には前提条件の変更等の留意が必要である。 3.馬鈴薯は北海道畑作の主要品目だが、実証経営では生産されていないため分析に含めていない。 4.耕畜連携モデルは近隣の耕種経営と酪農経営を前提にしているため、輸送費を含めていない。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/harc/2020/harc20_s05.html |
カテゴリ | イアコーンサイレージ 経営管理 とうもろこし 乳牛 輸送 |