タイトル | コナガのジアミド系殺虫剤の抵抗性遺伝子の起源と抵抗性リスクレベル |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 2014~2020 |
研究担当者 |
上杉龍士 上樂明也 Suprada Sukonthabhirom na Pattalung 日本典秀 桑崎誠剛 金森裕之 片寄裕一 園田昌司 |
発行年度 | 2020 |
要約 | アブラナ科作物の害虫であるコナガのジアミド系殺虫剤の日本国内でみられる抵抗性遺伝子の一部起源は海外にある。日本国内の抵抗性リスクについては、非越冬地域でリスクレベル2(使用非推奨)、越冬地域でリスクレベル3(制限・中止)となる。 |
キーワード | アブラナ科作物、コナガ、ジアミド系殺虫剤、抵抗性遺伝子、薬剤抵抗性管理 |
背景・ねらい | コナガはアブラナ科作物害虫であり、薬剤抵抗性を発達させやすいことから難防除害虫といわれる。近年は、ジアミド系殺虫剤がアブラナ科作物で基幹防除剤であり、ジアミド系殺虫剤を中心としたコナガの抵抗性管理技術の開発が急務である。本研究では、コナガのジアミド系殺虫剤の抵抗性遺伝子の起源と拡散のプロセスを明らかにする。それによって、日本におけるコナガの抵抗性の発生要因とその特性を解明し、「薬剤抵抗性農業害虫管理のためのガイドライン案」を活用した抵抗性リスクに応じる対策法につなげる。 |
成果の内容・特徴 | 1.コナガのジアミド剤抵抗性遺伝子であるリアノジン受容体突然変異G4946Eおよびその周辺領域の塩基配列の解析によって、抵抗性遺伝子の起源と日本国内における抵抗性リスクレベルが明らかになる。 2.日本とタイに生息するコナガのジアミド系殺虫剤抵抗性遺伝子は共通の起源(E2およびE5)を持つ(図1)。ジアミド系殺虫剤の抵抗性がタイで2008年、日本で2013年に初確認されたことから、日本で確認された抵抗性遺伝子の一部は東南アジアに起源があると推察される。以上の知見は、抵抗性に関する海外との情報交換や国際的な抵抗性遅延戦略の取り組みが、日本国内のコナガの抵抗性管理にとって重要であることを示している。 3.国内におけるコナガのジアミド系殺虫剤の抵抗性リスクは、「薬剤抵抗性農業害虫管理のためのガイドライン案」にもとづくと、非越冬地域(北日本)でリスクレベル2、越冬地域(それ以南)でリスクレベル3のケースが多い(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.海外でのコナガの薬剤抵抗性発生状況に関する情報を重視しつつ、国内における薬剤抵抗性管理の考え方にもとづいた防除体系を構築する。 2.地域ごとの抵抗性リスクの違いに対応した抵抗性対策防除体系の開発に活用される。抵抗性リスクレベルに応じた具体的な防除対策については、「薬剤抵抗性農業害虫管理のためのガイドライン案」に準じて構築する。 3.「薬剤抵抗性農業害虫管理のためのガイドライン案」において、コナガのジアミド系殺虫剤に対する抵抗性リスクレベルはレベル1(ジアミド系殺虫剤を基幹剤として組入れ可能)、レベル2(使用非推奨)、レベル3(使用の制限・中止)の3段階が設定されている。なお、これはコナガに対する抵抗性リスク設定であり、他の害虫の防除を目的としたジアミド系殺虫剤の使用を制限するものではない。 4.ガイドライン案は以下のサイトから利用可能である。https://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/121745.html |
図表1 | ![]() |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/tarc/2020/tarc20_s16.html |
カテゴリ | あぶらな 害虫 管理技術 抵抗性 抵抗性遺伝子 防除 薬剤 |