タイトル | 土壌に含まれる交換性塩基のバランスがダイズの収量に関わる |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 2015~2020 |
研究担当者 |
髙本慧 髙橋智紀 新良力也 |
発行年度 | 2020 |
要約 | 16県228地点456の水田転換畑圃場で行われた広域調査の結果では、ダイズの収量に土壌の交換性塩基が強く関わっている可能性が認められる。特に、交換性Mgの交換性CaおよびKに対する比率でMg割合が高まると、ダイズの収量が低くなる傾向がある。 |
キーワード | 交換性塩基バランス、ダイズ、収量、水田転換畑、広域調査 |
背景・ねらい | 国内のダイズの平均収量は世界の60%程度で、2000年度に歴代最高の192 kg/10aに到達以降は低迷している。ダイズ収量と土壌化学性の関係については、統一的な改善方法がこれまで不明である。本研究では、2015年から2017年の3年間で計16県228地点456圃場のダイズ収量と土壌化学性に関するデータを集めて解析し、ダイズ収量に関わる土壌化学性の要因を抽出する。 |
成果の内容・特徴 | 1.収量を除く各調査項目で、交換性Mg含量、交換性Mg/K比とCa/Mg比のp値が0.05以下となり、Ca/Mg比のp値は最も小さい(表1)。 2.中央値の差から、気象、品種および肥培管理が同一の条件では、交換性Mg含量とMg/K比が高くなるとダイズ収量が低く、Ca/Mg比が高くなるとダイズ収量が高くなる傾向にある(表1)。 3.交換性KとCa含量およびCa/K比は高収圃と低収圃で有意な差はみられず、全窒素含量、土壌pHおよび可給態リン酸濃度についても同様である(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.本研究は、ダイズ収量と交換性塩基バランスの関係を明らかにするための基礎文献となる。 2.土壌分析の結果をもとにしたものであり、資材の効果を検討したものではない。また、各調査項目の閾値についても検討していない。 3.調査地点間の気象、品種および肥培管理の違いを小さくするために、各調査地点で同一生産者が同一の管理を行うダイズ圃場を2枚選んでいる。2枚のうち、収量が高い圃場を高収圃、低い圃場を低収圃として調査し、各調査項目の調査地点ごとに対比較による解析結果である。 4.本研究で解析したデータセットは、2015年から2017年の3年にわたり行われた、計16県228地点456圃場の広域調査に基づいている(表2)。データセットには、ダイズ収量、および土壌の全窒素含量、土壌pH、可給態リン酸、交換性塩基(K、Ca、Mg)および交換性塩基バランス(Ca/K、Mg/K、Ca/Mg)が含まれている(表3)。各調査地点の収量は坪刈りで調査し、分析した土壌の多くは収穫後に作土層から採取している。 5.調査地点の土壌は73%が低地土、16%が黒ぼく土、11%がそれ以外に分類される。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/tarc/2020/tarc20_s01.html |
カテゴリ | 水田 大豆 肥培管理 品種 |