タイトル | ハクサイ黄化病の発病抑止土壌に特徴的に見出される発病抑制効果を示す糸状菌 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター |
研究期間 | 2016~2020 |
研究担当者 |
野口雅子 長瀬陽香 吉田重信 山内智史 三室元気 酒井宏 古澤安紀子 三木静恵 |
発行年度 | 2020 |
要約 | ハクサイ黄化病の発病抑止土壌に特徴的に生息する糸状菌はPCR-DGGE法の微生物群集構造解析により見出される。本糸状菌は黄化病の発病抑制効果を示し、土壌の発病抑止性に関連している可能性がある。 |
キーワード | ハクサイ、黄化病、発病抑止土壌、PCR-DGGE |
背景・ねらい | ハクサイ黄化病は、株の黄化や萎凋症状により品質の低下や減収を招く難防除土壌病害であり、産地ではその対策が求められている。栽培圃場では、本病の発病抑止土壌の存在が知られており、その特徴を明らかにすることは本病の新たな管理法の開発の基礎知見として重要である。しかし、発病抑止土壌の性質、特に生物的な特徴は不明な点が多い。そこで、本研究では本病の発生程度の異なる土壌微生物の群集構造をPCR-DGGE法で比較解析し、発病抑止土壌における微生物群集の特徴や発病抑止性への関連性を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1.群馬県内の黄化病の発生程度の異なるハクサイ圃場由来の土壌のrRNA遺伝子を標的としたPCR-DGGE法による微生物群集構造解析において、発病抑止土壌では糸状菌相の多様性が低下する特徴があるとともに(表1)、抑止土壌に特徴的に出現する糸状菌のDGGEバンドが見出される(図1)。特徴的なDGGEバンドの塩基配列は、Chaetomiaceae科に属する糸状菌の18S rRNA遺伝子の部分配列と高い相同性を示す。 2.発病抑止土壌からローズベンガル培地を用いてChaetomiaceae科に属する菌株を分離し、各菌株のDNAのPCR-DGGE法による泳動ゲル中のバンドの移動距離を調べることで、発病抑止土壌に特徴的なDGGEバンドに相当する糸状菌株(S69株)が得られる。 3.S69株のITS領域の塩基配列は、Chaetomiaceae科の中のThielavia 属菌と高い相同性を示す(表2)。 4.黄化病菌汚染土壌にS69株のフスマ培養物を添加したポットで栽培されるハクサイ苗の発病は、未培養のフスマを添加した対照ポットでの発病よりも抑制され(図2)、S69株は本病の発病抑止土壌の発病抑止性に関連している可能性がある。 |
成果の活用面・留意点 | 1.本病の発病抑止土壌に特徴的に生息する微生物種は他にも存在する可能性がある。 2.S69株の種名の確定には、子のう殻や子のう胞子等の形態的特徴を明らかにする必要がある。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/carc/2020/carc20_s14.html |
カテゴリ | はくさい 防除 |