タイトル | 施設有機栽培ミニトマトの総合的病害虫管理体系 |
---|---|
担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター |
研究期間 | 2016~2020 |
研究担当者 |
櫻井民人 長坂幸吉 山内智史 澤田守 杜建明 |
発行年度 | 2020 |
要約 | 太陽熱土壌消毒、防虫ネット、バンカー法、天敵製剤、栽培用器具等の温湯消毒、有機JAS規格に適合する殺虫・殺菌剤などを活用した施設有機栽培ミニトマトの総合的病害虫管理体系を実践することにより、10aあたり5t以上の収量と慣行栽培を上回る純利益が得られる。 |
キーワード | 施設有機栽培、ミニトマト、IPM、天敵利用、経営的評価 |
背景・ねらい | 病害虫被害により生産が不安定となりやすい有機野菜栽培において安定生産を実現するためには、総合的病害虫管理(IPM)を核とした生産体系の確立と導入が有望である。そこで、茨城県内の生産者と連携し、施設有機栽培ミニトマト(夏秋どり)について、天敵など有機JAS規格に適合する病害虫防除資材や輪作等の耕種的手段、防虫ネット等の物理的手段を組み合わせた総合的病害虫管理体系を、経営的評価を加えた上で策定する。 |
成果の内容・特徴 | 1.害虫対策としては、防虫ネット(0.6mm目合い)展張によるハウス内への害虫侵入抑制、アブラムシ類に対するコレマンアブラバチおよび土着天敵(ショクガタマバエ等)を利用したバンカー法やアブラコバチ類の放飼、コナジラミ類に対するツヤコバチ類の放飼、トマトサビダニに対するミルベメクチン乳剤といった有機JAS規格に適合する殺虫剤の散布を、害虫の発生に合わせて適切な手法とスケジュールに基づいて実施する(図1)。これにより、害虫の被害が軽減できる。 2.病害では、ピシウム属菌による萎凋性土壌病害対策としてミニトマト栽培前年の盛夏期に太陽熱土壌消毒を実施するとともに、苗の定植時期を高温期から低温期にすること、葉かび病対策として栽培用器具等(誘引クリップ、ネット)の温湯消毒に加え、うどんこ病やすすかび病対策も兼ねて有機JAS規格に適合する殺菌剤の定期的な散布を実施する(図2)。 3.本体系を活用しない施設有機栽培では収量が2t/10a程度であるが、上記1、2の防除技術を導入することにより、収量が5t/10aを超えて化学農薬中心の慣行栽培(5.8t/10a)の8割以上となる(図3,表1)。 4.本体系を導入した場合の費用について慣行栽培と比較すると、有機JAS規格に適合した肥料や農薬の購入費が増加するものの、生産コストは約1割増に抑えられる。また、高単価で販売できるため、粗収益は慣行栽培の約1.2倍となり、純利益は113万円/10aに達して慣行栽培の農業所得を上回る(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.普及対象:有機農業生産者、普及指導機関。 2.普及予定地域・普及予定面積: 全国(夏秋どり栽培)・3aハウス200棟超(新規就農者を含めた有機栽培生産者および有機栽培新規参入者の50%) 3.その他: 本体系を導入した場合の病害虫防除および経済効果は、茨城県小美玉市における輪作体系での実施例であり、地域、気候条件、圃場規模、品種、取引や流通状況3.その他の条件より変動する。 天敵利用技術習得のためには、一般に、指導機関等からの助言を受けた上で数年以上の経験を積む必要がある。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/carc/2020/20_013.html |
カテゴリ | 肥料 有機栽培 有機農業 うどんこ病 温湯消毒 害虫 くり 経営管理 コスト 栽培技術 天敵利用 土壌消毒 土着天敵 トマト 農薬 病害虫防除 品種 防除 ミニトマト 野菜栽培 輪作 輪作体系 |