タイトル | 日本海側砂丘畑地におけるパン用小麦の安定・省力栽培技術 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター |
研究期間 | 2015~2019 |
研究担当者 |
関正裕 島崎由美 山本亮 加藤仁 細野達夫 渋川洋 川上修一 樋口泰浩 藤田与一 林賢太郎 南雲芳文 |
発行年度 | 2020 |
要約 | 日本海側砂丘畑地のパン用小麦栽培では低タンパク質含有率になるため追肥量・回数を増やす必要がある。追肥体系の見直しおよび液肥による同時葉面散布による省力作業により作業回数を従来の4/7に削減でき、収量やタンパク質含有率の向上効果はほぼ同等となる。 |
キーワード | パン用小麦、砂丘畑地、省力作業、タンパク質含有率、同時葉面散布 |
背景・ねらい | 積雪のある日本海側砂丘畑地におけるパン用小麦「ゆきちから」栽培では5回追肥をすることで収量やタンパク質含有率を向上させる追肥方法を確立したが、労力を多く必要とし、特に水稲移植時期に小麦の追肥作業が重なる。そこで、作業回数を削減しつつ、実需の求めるタンパク質含有率にする省力的な技術を確立する。 |
成果の内容・特徴 | 1.日本海側砂丘畑地のパン用小麦「ゆきちから」の収量400kg/10a、タンパク質含有率11.5%(小麦のランク区分基準の基準値以上)にするには、追肥回数を5回、窒素15~16kg/10aを生育に合わせて行うことで可能となる。また、砂丘畑地では適応できる除草剤が限られるため雑草防除に注意する必要がある(図1)。 2.パン用小麦「ゆきちから」の追肥体系(標準追肥体系)から、追肥回数を削減しても収量やタンパク質含有率は同等程度となる(表1)。 3.パン用小麦では水稲移植時期に開花期追肥と赤かび防除をあわせて3回作業が必要となるが両作業とも必須な作業で省略することはできない。そこで、赤かび病防除剤と肥料を混用し同時葉面散布をブームスプレーヤで行うことで作業回数を2/3に省略できる(図1)。尿素溶液に赤かび防除剤を混用しても、収量やタンパク質含有率の向上効果はほぼ同等(表1)で、赤かび病の発生も見られない。 4.追肥体系の見直しおよび同時葉面散布による省力作業により追肥と赤かび病防除の作業回数が従来作業7回から4回に削減される(図1)。新潟市の現地実証では収量が3年間平均で従来の160%、タンパク質含有率が0.8ポイント増加する(図2)。 5.省力追肥作業体系を導入することにより、新潟市の現地実証の小麦の粗収益は10aあたり62,256円、経営費は40,482円で、所得は21,774円と見込まれる(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.普及対象:パン用小麦生産者、普及指導機関。 2.普及予定地域・普及予定面積・普及台数等: 新潟県を中心とした砂丘畑地約100haや積雪のある日本海側砂丘畑地。 3.その他: ・本情報はすべてパン用小麦「ゆきちから」で実施した結果である。パン用小麦「夏黄金」においても同等の結果が得られる。経済性は実証試験に基づくシミュレーション結果であり、経営体の所有する機械・設備類などにより異なる。 ・具体的な砂丘畑地でのパン用小麦の栽培方法や作業方法は「日本海側砂丘地・気象における砂丘畑地パン用小麦の栽培技術マニュアル」を参照のこと。 ・本成果はすでに当該地域の農業改良普及センターに技術移転し、営農指導に利用されている。 |
図表1 | ![]() |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/carc/2020/20_007.html |
カテゴリ | 肥料 経営管理 小麦 栽培技術 雑草 省力作業 除草剤 水稲 防除 |