クロラントラニリプロールによるアリモドキゾウムシ・イモゾウムシの省力的防除

タイトル クロラントラニリプロールによるアリモドキゾウムシ・イモゾウムシの省力的防除
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2018~2020
研究担当者 市瀬克也
深見公一郎
吉武啓
岡田吉弘
高橋仁康
林川修二
濱島朗子
倉本周代
松山隆志
河野伸二
比嘉真太
眞玉橋將央
神里春樹
山口悟
島克弥
発行年度 2020
要約 サツマイモ栽培期間中のクロラントラニリプロール葉面散布によるアリモドキゾウムシ・イモゾウムシの防除効果は、慣行防除でのクロルピリホス株元施用と同等である。本剤のドローンによる散布は、散布時間を100分の1以下に削減し(1.0分/10a)、省力的防除を可能とする。
キーワード サツマイモ、ドローン、プレバソン、移動規制対象害虫、葉面散布
背景・ねらい 南西諸島では、アリモドキゾウムシ・イモゾウムシによる塊根への加害のため、サツマイモ生産が大きく制限される。サツマイモ苗植え付け後でのこれら害虫に対する実用的防除法は、クロルピリホス粒剤の2回の株元処理に限定される(沖縄県推奨体系)。しかし、多年にわたる本剤のみの使用は害虫の薬剤抵抗性発達を早め、害虫への防除効果の低下を招く恐れがある。また、粒剤の株元処理は時間がかかり、特に夏期では労力負担が大きくなるため、より作業時間が短かくてすむ葉面散布が可能な薬剤施用によるこれら害虫の防除法確立への要請が高い。このため、これまでの研究からシアントラニリプロールによるゾウムシ防除効果及び散布労力の低減効果を明らかにしてきたが、さらに薬剤の選択肢を拡大することが望ましい。
そこで本研究では、ゾウムシの薬剤抵抗性発達の遅延および散布の省力化のため、クロルピリホス(有機リン系)とは別系統薬剤であるクロラントラニリプロール(ジアミド系)の葉面散布を従来のクロルピリホス粒剤株元施用と比較し、ゾウムシ防除効果を明らかにする。さらにドローンを用いた本剤の空中散布について、ゾウムシ防除効果及び作業の省力化について評価する。
成果の内容・特徴 1.サツマイモ苗植付2及び4か月後でのクロラントラニリプロール(商品名プレバソンフロアブル5)の肩掛け式散布機による葉面散布2回施用(4000倍希釈、100L/10a)は、ゾウムシによる塊根被害率(図1左)及び塊根内の寄生ゾウムシ数(図1右)どちらの評価からも、慣行施用でのクロルピリホス粒剤株元2回施用(同ダーズバン粒剤)と同等の防除効果を示す。
2.クロラントラニリプロールのドローン(DJI Agras MG-1)散布は(16倍希釈16L/1ha、高度2m有効散布幅4m)、動力噴霧器による葉面散布(希釈率・散布量同上)とゾウムシ被害低減効果が同等であり(図2左)、ゾウムシ個体数を同程度に低減する(図2右)。
3.施用作業時間は、クロルピリホス剤粒剤施用時間に比べ、散布機による葉面散布で5分の1、ドローンで100分の1以下に短縮できる(表1)。
4.クロラントラニリプロールのドローン散布では、飛行高度2m、飛行航路を中心とし両側2mの範囲(散布幅4m)に施用剤を落下させる規定であるが、風向・風速により、その散布様式は影響を受ける(図3左)。また飛行航路下の散布量は、進行方向側にややずれ込み、散布開始点での散布量不足、散布終点での非散布側へのドリフトを生じる(図3右)。
成果の活用面・留意点 1.本剤のアリモドキゾウムシ・イモゾウムシへの施用登録はなく、登録適用拡大を申請中である(令和2年12月現在)。
2.本剤は鱗翅目害虫(ナカジロシタバ、ハスモンヨトウ)に施用登録があり、これら害虫に卓効を示すので、本剤のゾウムシへの適用拡大認可の後には、クロルピリホスでは対応できないゾウムシと鱗翅目害虫の同時防除を目的とした施用が可能となる。
3.ゾウムシへの本剤の施用登録が適用拡大されれば、サツマイモ栽培期間中の使用回数は3回、収穫日の前日までの施用が可能となる(クロルピリホスは2回施用、収穫30日前まで)。
4.生育期間中の本剤施用は、2種ゾウムシに登録のあるクロルピリホスおよびシアントラニリプロールとの併用が可能である。
図表1 244580-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/karc/2020/karc20_s13.html
カテゴリ 害虫 省力化 抵抗性 ドローン 防除 薬剤

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