二倍体野生種のゲノム情報を利用したキクDNAマーカーの効率的な開発技術

タイトル 二倍体野生種のゲノム情報を利用したキクDNAマーカーの効率的な開発技術
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜花き研究部門
研究期間 2015~2019
研究担当者 住友克彦
白澤健太
磯部祥子
平川英樹
久松完
中野善公
八木雅史
大宮あけみ
発行年度 2020
要約 同質六倍体であるためにDNAマーカー開発が困難であったキクにおいて、キク属野生種キクタニギクの全ゲノム情報を活用し、6セットのゲノムのうち、1セットのゲノムにのみ存在する配列の違いをDNAマーカー化することで、有用な形質と関連するDNAマーカーを効率的に開発できる。
キーワード キク、キク属二倍体野生種キクタニギク、同質六倍体、DNAマーカー
背景・ねらい キクは、わが国で最も生産量の多い花きである。キクの品種開発は、育種者の経験に基づいて行われているが、DNAマーカーなどのゲノム情報利用技術を活用することで効率的な品種開発が可能となる。しかし、キクは同質六倍体で遺伝様式が複雑なためDNAマーカーの開発に多大な労力がかかることが問題である。そこで、近年整備されたキク属野生種キクタニギクの全ゲノム情報を活用し、キクのDNAマーカーを効率的に開発する手法を開発する。
成果の内容・特徴 1.キクの雑種第1代集団を用いてddRAD-Seq解析によって、キクのゲノム断片の配列情報を取得する。ddRAD-Seq解析は、ゲノムを2種類の制限酵素で切断し、次世代シーケンス技術を用いて切断した部位の近隣領域配列を解析する手法である(図1)。
2.キク属野生種で二倍体のキクタニギク(図2)では、全ゲノムの塩基配列が解読されている。キクタニギクのゲノムを参照配列として、キクのゲノム断片の対応する部分を並べ、DNA多型を見つけるとともに、その座乗位置を明らかにする。
3.集団におけるDNA多型のアリル頻度およびDNA多型を有する個体の出現率によって、6ゲノムのうち1ゲノムだけに座乗するDNA多型だけを選抜する。次世代シーケンス解析を活用することによって、本手順にかかる労力を大幅に軽減できる。
4.形質とDNA多型との関連解析によって有用形質と相関のあるDNA多型を同定し、DNAマーカーを開発できる。複数ゲノムに座乗するDNA多型は遺伝様式が複雑で解析困難なため、1ゲノムだけに座乗するDNA多型をマーカーとして用いることによって、同質六倍体においても関連解析を利用したDNAマーカー開発が可能になる(図1)。例えば、花弁色に関して本手法を用いることで、既知の花色決定遺伝子(CmCCD4a遺伝子)の近傍にDNAマーカーを同定できる。
成果の活用面・留意点 1.本成果を用いて開発するDNAマーカーを用いることで、キク育種における有用形質の選抜に要する時間と手間が軽減され、効率的な品種開発が可能となる。
図表1 244622-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nivfs/2020/nivfs20_s07.html
カテゴリ 育種 きく DNAマーカー 品種開発

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