組合員の二極分化が進んだ土地改良区における総代の選出方法

タイトル 組合員の二極分化が進んだ土地改良区における総代の選出方法
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究部門
研究期間 2016~2020
研究担当者 鬼丸竜治
北村浩二
吉村亜希子
山﨑寛史
西田和弘
発行年度 2020
要約 組合員が少数の大規模経営体と多数の小規模農家に二極分化した土地改良区では、意思決定機関である総代会の議決に両者の意見を平等に反映させるため、総代の選出方法を、一人一票制等の組合員数に着目した方法から、面積要件付加制等の農地面積も考慮した方法に変更するとよい。
キーワード 土地改良区、総代選出、二極分化、組合員数、農地面積
背景・ねらい 大規模経営体への農地集積が進む中、農業水利施設の管理を担う土地改良区では、組合員が少数の大規模経営体と多数の小規模農家に二極分化することが見込まれている。そうした場合、意思決定機関である総代会の総代の選出において、現行の一人一票制等の「組合員数」に着目した方法を用いると、多数を占める小規模農家の組合員(以下「小規模組合員」という。)の推す候補者が選ばれやすくなる。そのため、人数は少ないものの「農地面積」では大半を占める大規模経営体の組合員(以下「大規模組合員」という。)が不平等感を抱き、水路の維持管理の労力負担といった義務の履行意欲が低下する恐れがある。そこで、本研究では「組合員数」と「農地面積」に着目して、二極分化が進んだ土地改良区における総代の選出方法を示す。
成果の内容・特徴 1.総代の選出方法のうち各組合員の「選挙権数決定方法」について、二極分化した組合員の意見を平等に反映させるために当該方法が備えるべき条件は、土地改良区全体で、小規模組合員の意見を主に反映する指標「組合員数」を換算した選挙権数の総和と、大規模組合員の意見を主に反映する指標「農地面積」を換算した選挙権数の総和が、両者が妥協可能な程度に等しいことである。この条件を満たす方法として、式1に示すとおり、各組合員の選挙権数を「1人当たり1票」と「全組合員数と同数の選挙権数を全農地面積につき地積割した票数」の合計にするやり方(以下「面積要件付加制」という。)を提案する(図1)。
2.総代の選出方法のうち各組合員の「所属選挙区決定方法」について、現在は所属する選挙区を1つとする方法(以下「一人一選挙区制」という。)が用いられている。そのため、1人の大規模組合員が複数の選挙区に跨がって農地を集積した場合、図2に示すように、所属する選挙区以外では、農地はあっても選挙権はないので、小規模組合員の推す者が選ばれやすいという問題がある。そこで、1人の大規模組合員の農地が複数の選挙区にあるときは、当該組合員が希望する選挙区のいずれにも所属できるという方法(以下「一人複数選挙区制」という。)を提案する。
3.各選挙区の総代の「定数決定方法」について、現在は組合員数に比例させる方法(以下「組合員数比例定数制」という。)が用いられている。そのため、同面積の選挙区であっても、図3に示すように、大規模組合員が大半を占める区の定数は、小規模組合員が大半を占める区よりも少なくなるという問題がある。そこで、総代の定数を当該選挙区における選挙権数に比例させる方法(以下「選挙権数比例定数制」という。)を提案する。
成果の活用面・留意点 1.本成果は、土地改良区に関わる研究者や行政部局担当者が、組合員の二極分化が進んだ土地改良区における意思決定方法を検討する際の情報として活用できる。
2.意思決定方法を検討する際、大規模組合員は経営方針の違いによる意見の相違があるので、事前に議論の場を用意し合意形成を促す点に留意することが重要である。
図表1 244694-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nire/2020/nire20_s09.html
カテゴリ 経営管理 大規模経営 水管理

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