精米工場におけるコクゾウムシ成虫のモニタリング

タイトル 精米工場におけるコクゾウムシ成虫のモニタリング
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門
研究期間 2018~2020
研究担当者 宮ノ下明大
古井聡
今村太郎
発行年度 2020
要約 フェロモントラップによるコクゾウムシ成虫のモニタリングは、本種の発生源および侵入源の推定に有効である。調査対象の精米工場においては、搬入前の玄米に混入した成虫が侵入源と推測され、ピークは8月~10月であり、その多くは床上で捕集される。
キーワード コクゾウムシ、モニタリング、フェロモントラップ、HACCP、異物混入
背景・ねらい 2018年に食品衛生法が一部改正され、フードチェーン全体にHACCPによる衛生管理の義務化が決定し、精米工場にも導入が始まっている。玄米の主要な害虫であるコクゾウムシは、精米工場での混入防止が求められているが、精米工場での本種のモニタリング調査の事例は少なく、その分布や捕獲数の変動については、データの蓄積が不十分である。
そこで、本研究では関東地方北部の精米工場で2年間にわたり、コクゾウムシ用フェロモントラップ(床置き式で集合フェロモンを含む固体の誘引源を使用)を19個設置し、月1回トラップを交換してその成虫捕獲数を調査することで、工場内の本種の分布および変動を明らかにする。
成果の内容・特徴 1.精米工場における玄米および米糠の流れと各部屋の配置の模式図を示す(図1)。本玄米は荷受室から粗選室に移動されて異物が除去され、タンク室で短期間保管される。保管された玄米は精米室と無洗米室で精米され、包装室のタンクに運ばれる。タンクに保管された精米は袋詰めされ、出荷室を経て製品として工場外へ出荷される。
2.年間100個体以上が捕獲された場所は、荷受室、粗選室、タンク室、精米室A、糠室であり、100個体未満は精米室B、無洗米室、包装室、出荷室、屋外である(図2)。このように、玄米が搬入、保管される場所での捕獲数が多いことから、搬入前の玄米に混入したコクゾウムシ成虫が工場内に侵入し、トラップに捕獲されると推測される(粗選室と糠室Iは距離が近い)。精米室A,Bは、同室の異なる場所のトラップで、Aは侵入源と推測される粗選室により近い。
3.調査工場のタンク室,無洗米室,包装室で,タンク上(8 m)や包装機上(2.5 m)にトラップを設置し捕獲数を調べると、床上では2年間を通して合計428個体、上記の高い位置では6個体が捕獲される(図2)。このように、コクゾウムシ成虫は飛翔可能であるが、調査工場内では飛翔したり壁を登ったりすることで高い場所に移動する個体は少ない。
4.総捕獲数は、2018年度は1,378個体、2019年度は2,042個体であり、本種捕獲ピークは、2018年は8月、2019年は10月である(図3)。これにより、コクゾウムシの混入を警戒する時期の推測が可能となる。
5.トラップの捕獲数は冬季(12~2月)でも0にならない(図3)。工場内では1年を通してコクゾウムシが活動する。
成果の活用面・留意点 1.フェロモントラップの設置場所は、工場の床上が適している。
2.トラップを掃除等によって移動した場合、常に同じ位置に戻すようにする。
3.捕獲数やそのパターンは、年ごとの気候条件(気温、湿度等)により異なることがある。
4.精米工場の立地条件、構造、玄米の搬入方法が異なれば、トラップ捕獲数の分布や動向は異なると考えられる。
図表1 244711-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nfri/2020/nfri20_s11.html
カテゴリ 害虫 出荷調整 フェロモン モニタリング

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