タイトル | ほうれんそうに含まれるルテイン定量法と日本農林規格(JAS)化 |
---|---|
担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門 |
研究期間 | 2016~2020 |
研究担当者 |
小竹英一 園田剛文 稗島佑介 小岩智宏 浅野正博 安井明美 |
発行年度 | 2020 |
要約 | 生鮮・冷凍ほうれんそうについて、汎用性の高い高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により、再現性の高いデータを取得する。ほうれんそうは、ルテインとその異性体やクロロフィル等を含むが、本法はルテインのみを分析できる。室間共同試験を行い、本測定法の妥当性が確認される。 |
キーワード | 日本農林規格(JAS)、室間共同試験、ゼアキサンチン、ほうれんそう、ルテイン |
背景・ねらい | ルテインは、光による刺激から目を保護するとされる網膜(黄斑部)色素を増加させることが報告されている機能性成分である。ルテインは葉菜類、とうもろこし、卵黄等に多く含まれるが、我々は日常的にルテインを、ほうれんそうから最も摂取しているという学会報告がある(日本栄養食糧学会2018、福島ら)。農作物中に機能性成分の含量を増やす事はその高機能化に繋がるとされるが、品種、栽培条件、流通過程でその含量は変化する。標準分析法により機能性関与成分としてのルテイン含量を決定し、ルテインが有する機能性を機能性表示食品の開発に利用することができるようになる。 |
成果の内容・特徴 | 1.ほうれんそうの試験管消化モデルを示す。緑の部分にクロロフィル、赤橙色の部分にカロテノイド(ルテインはその1種)が含まれている(図1)。 2.ルテイン以外にも、その異性体であるゼアキサンチン(図4)が含まれることがあるが、本HPLC法により、ルテインのみを分析できる (図2)。また、β-カロテン(図4)も含まれるが、HPLCの移動相の工夫により、分析中のクロマトグラム上にピークは現れない。 3.クロロフィルがルテインの分析を干渉する場合があるが、本法ではけん化によりクロロフィルは抽出前に分解されるため、干渉を受けない(図3)。 12か所の研究室による室間共同試験を行い、本法の妥当性が確認されている。 4.本法は、日本農林規格「ほうれんそう中のルテインの定量-高速液体クロマトグラフ法(JAS 0008)」として制定されている。 |
成果の活用面・留意点 | 1.ほうれんそうを機能性表示食品として消費者庁へ届け出をする場合に機能性関与成分としてのルテインの定量分析方法への利用が期待できる。 2.本法は、ほうれんそう以外の野菜にも適用が可能で、茶葉の分析で参考にされた例がある。また、ほうれんそうのルテインはフリー体(OH基が脂肪酸エステルになっていない)であるが、かぼちゃのようにエステル体を含む場合にも、けん化により脂肪酸が遊離するため、適用できる可能性がある。 ルテイン抽出操作のために、ほうれんそうの懸濁液からサンプルを採取する際、懸濁物の一部が沈みやすく採取が不均一になる場合があるので、注意を要する。攪拌しながら採取することで均一化が図れる。 3.本試験を実行する能力を認められてJAS法に基づく登録を受けた試験業者は登録標章を試験証明書等に表示できる。ただし、その登録標章は商品には表示できない。 |
図表1 | ![]() |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nfri/2020/nfri20_s09.html |
カテゴリ | かぼちゃ 機能性 機能性成分 栽培条件 茶 とうもろこし 品種 ほうれんそう |