お米(イネ胚乳)の生長を制御するOsEMF2a遺伝子

タイトル お米(イネ胚乳)の生長を制御するOsEMF2a遺伝子
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門
研究期間 2017~2020
研究担当者 川勝泰二
遠藤真咲
木下哲
殿崎薫
小野明美
国定愛美
西野愛
永田博基
坂本 真吾
貴嶋紗久
古海弘康
野々村賢一
佐藤豊
高木優
畠山勝徳
発行年度 2020
要約 OsEMF2aは遺伝子発現を抑制するヒストン修飾を制御するポリコーム複合体因子の一つであり、デンプン合成を含めお米の生長を制御している遺伝子である。OsEMF2aの機能を欠損させることで受粉しなくても胚乳が発生して肥大し、デンプン合成過程まで進行する。
キーワード イネ、胚乳、デンプン、貯蔵タンパク質、ヒストン修飾
背景・ねらい イネは世界的に重要な食糧であるが、イネの花粉は環境の影響を受けやすく、気温が低いと花粉が正常に形成できず収量が減るため、受粉なしで稔実した胚乳(コメ)を作ることができる技術の開発が求められている。双子葉植物のシロイヌナズナでは、遺伝子発現を抑制するヒストン修飾に関わるタンパク質群で構成されるポリコーム複合体が胚乳初期発生を制御する。そこで、本研究ではゲノム編集でポリコーム複合体を形成する因子の一つであるOsEMF2a遺伝子が機能しない変異体を作出し、単子葉植物におけるポリコーム複合体と胚乳発生の関係を明らかにする。
成果の内容・特徴 1.受粉していない子房は通常そのまま退化するが、OsEMF2a機能欠損変異体(osemf2a)では受粉しなくても肥大する子房が出現する。(図1)。
2.受粉なしで肥大するosemf2aの子房では、受粉した子房と同様に胚乳核の分裂が起こり、デンプンが蓄積する(図2)。これらのことから、OsEMF2aは無受粉での胚乳発達を抑制することが示唆される。
3.受粉したosemf2aの子房では、胚乳発達が遅れて正常な種子形成を行うことができないため、OsEMF2aは受粉後の胚乳発達を亢進することが示唆される(図3)。
4.osemf2aの胚乳では、胚乳発達に重要な役割を果たすと考えられる、母親由来アレルが抑制され、父親由来アレルが発現するインプリント遺伝子において、ポリコーム複合体に制御されるヒストン修飾が減少し、遺伝子発現量が上昇するため、OsEMF2aがヒストン修飾を介してこれらのインプリント遺伝子を制御していることを示している(図4)。
成果の活用面・留意点 1.環境の影響を受けずに稔実したコメを作る技術開発や、胚乳の大きさを制御する技術開発に繋がる可能性がある。
2.osemf2aの胚乳は正常に発達しないため、osemf2aに制御され、胚乳発達に関わる遺伝子の機能を解明する必要がある。
図表1 244736-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nias/2020/nias20_s12.html
カテゴリ 受粉

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