蒸煮大豆(煮豆)硬さの判定に有効なDNAマーカー

タイトル 蒸煮大豆(煮豆)硬さの判定に有効なDNAマーカー
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 次世代作物開発研究センター
研究期間 2014~2020
研究担当者 戸田恭子
加藤信
平田香里
菊池彰夫
二瓶由美
羽鹿牧太
発行年度 2020
要約 蒸煮大豆の硬さに影響を及ぼすペクチンメチルエステラーゼ(PME)遺伝子の多型判別法である。PME遺伝子の1塩基多型もしくは1塩基欠失を検出するDNAマーカーを用いることで、蒸煮大豆が柔らかい品種・系統を選抜することが出来る。
キーワード 蒸煮大豆、煮豆、破断応力、DNAマーカー、ARMS法
背景・ねらい 蒸煮大豆の硬さは煮豆、納豆、味噌、醤油等の大豆加工食品の品質にとって重要な形質であり、軟らかい方が実需者から好まれる。蒸煮大豆の硬さにはGlyma.03G028900(Glyma03g03360)遺伝子がコードするペクチンメチルエステラーゼ(PME)の活性が影響し、この遺伝子の品種間でのDNA配列の違いが蒸煮大豆硬さに関係することがわかっている。そこで蒸煮大豆の硬さを簡易かつ迅速に判定する手法確立のため、Glyma.03G028900の多型を検出するamplification refractory mutation system-polymerase chain reaction (ARMS-PCR) 用DNAプライマーを設計し、国産大豆21品種や組換え近交系(RIL)等についてARMS法による評価の有効性を検討する。
成果の内容・特徴 1.国内品種に見いだされたGlyma.03G028900に関する4つのDNA多型に基づき、品種はA、A ?、 B、B ?タイプの4群に分類され 、A、もしくはA ?タイプはPME活性型、B、もしくはB ? タイプはそれぞれ1塩基置換、1塩基欠失があり、PME非活性型である。PME非活性型の蒸煮大豆は柔らかくなる(作物研究所2015年研究成果情報「ダイズペクチンメチルエステラーゼは蒸煮大豆の硬さに関与する」)。表1に示した4つのプライマーを用いたARMS法をそれぞれ行うことにより、PME非活性型であるBもしくはB ?タイプを同定することができる(図1)。
2.表1のBタイプ検出用プライマーセットを用いて図2で示すPCRを行うことで、Bタイプの品種・系統からは143 bpの特異的産物が増幅され、B ?タイプ検出用プライマーセットを用いてPCRを行うことで、B ?タイプの品種・系統からは271 bpの特異的産物が増幅される。これら特異的産物を明確に検出できる手法(3%アガロースゲルを用いたDNA電気泳動等)を用いることで、PME活性型、非活性型が判定できる。
3.上記の方法で判別した2群間での、蒸煮大豆の硬さ(煮豆破断応力)は有意に異なり(p<0.001)、本方法によって蒸煮大豆の硬さの判別が可能である(図3)。
成果の活用面・留意点 1.図2のPCR反応条件等は1例である。使用機器等が異なる場合、あるいは期待されるDNA多型を検出できない場合はアニーリング温度(PCR反応の63°C)等の変更を検討することが望ましい。また、一般的にARMS法ではプルーフリーディング活性を持つ酵素は使用できない。
2.AタイプとA ?タイプそれぞれの判別はできないが、それ以外のタイプ間ではヘテロ型も検出可能である。
図表1 244762-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nics/2020/nics20_s02.html
カテゴリ 加工 大豆 DNAマーカー 品種

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