タイトル | 越夏性に優れ広域適応性を有するオーチャードグラス極早生品種「まきばゆうか」 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門 |
研究期間 | 1998~2019 |
研究担当者 |
内山和宏 水野和彦 荒川明 清多佳子 上山泰史 杉田紳一 小松敏憲 矢萩久嗣 廣井清貞 前原泰徳 山口透 土方浩嗣 早坂邦昭 牧野雄二 林稔久 川口優 竹原利昭 角田正和 赤塚公一 青山秀人 加藤浩昭 渡邉美のり 朝日紗英子 世浪秀明 小樋正清 花立信二 寺戸貴裕 加世田法明 山下健一 室原盛也 |
発行年度 | 2021 |
要約 | オーチャードグラス極早生品種「まきばゆうか」は、「アキミドリII」と比べて越夏性に優れ、寒冷地から暖地中標高地までの広域適応性を示し、特に暖地で多収である。葉腐病、雲形病、黄さび病、小さび病の罹病程度が低い。 |
キーワード | オーチャードグラス、越夏性、葉腐病、広域適応性、採草用 |
背景・ねらい | オーチャードグラスは寒地型多年生牧草として広く普及しているが、夏季の気温が高い関東以西の暖地の中標高地においては夏枯れにより永続性が問題となり、また近年の地球温暖化による気温上昇により、これまで栽培適地とされてきた地域においても越夏が困難となるケースも散見される。 そこで九州有明海沿岸に自生していたオーチャードグラス集団を母材として、夏季の気象条件が非常に厳しい暖地低・中標高地(熊本、宮崎)で選抜を行い、越夏性・永続性に優れる極早生品種を育成することで、これまで普及してきた極早生品種「アキミドリII」に置き換え、温暖地・暖地を中心に普及を図る。 |
成果の内容・特徴 | 1. 東北から九州までの7試験地の年間合計乾物収量(3か年平均)は「アキミドリII」比100~115(平均106)で、寒冷地から暖地まで広域において多収である(表1)。 2. 温暖地、暖地における越夏後の収量および再生(越夏性)は、「アキミドリII」より優れる(表2、3)。特に暖地で良好な越夏性を示す。 3. 出穂の早晩は極早生で、「アキミドリII」より2日遅い(表3)。 4. 越冬性は、青森では「アキミドリII」よりやや劣るが、岩手以南では同程度である(表3)。 5. 「アキミドリII」と比較すると、葉腐病、黄さび病、小さび病、雲形病罹病程度は、低い。うどんこ病、すじ葉枯病罹病程度は、同程度である(表3)。 6. 早春の草勢は、西日本ではやや優れ、東日本では「アキミドリII」と同程度かやや劣る。秋の草勢は、「アキミドリII」と同程度である(表3)。 7. 採種性は、「アキミドリII」と同程度である(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 栽培適地は寒冷地の低標高地(青森県では標高400m程度まで)から暖地の中標高地(九州では標高500m以上)まで広域に適応する。「アキミドリII」にかえて普及を図り、普及見込み面積は3,000haである。 2. これまで「アキミドリII」が普及してきた地域では、オーチャードグラスの通常の栽培管理で良い。ただし、特に温暖地・暖地では盛夏期の利用を控える、また過繁茂にならないなど梅雨期から初秋まで越夏性に配慮した適正な刈取り等の管理が必要である。採草利用を主体とする(放牧に関する試験は行っていない)。 |
図表1 | ![]() |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/nilgs/2021/nilgs21_s07.html |
カテゴリ | うどんこ病 寒地 栽培技術 品種 |