| タイトル | 全ゲノム情報に基づく豚熱ウイルスの国内侵入時期の推定 |
|---|---|
| 担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究部門 |
| 研究期間 | 2018~2020 |
| 研究担当者 |
澤井宏太郎 西達也 深井克彦 加藤友子 早山陽子 山本健久 |
| 発行年度 | 2021 |
| 要約 | 26年ぶりに発生した豚熱の国内への侵入時期をウイルスの全ゲノム情報に基づき推定すると、初発農場で感染が確認される146日前に国内に侵入していたと推定される。農場での感染が確認される前に周辺の野生イノシシが既に感染している可能性があるため、十分な警戒が必要である。 |
| キーワード | 豚熱ウイルス、フルゲノム解析、侵入時期 |
| 背景・ねらい | 2018年に国内で26年振りとなる豚熱の発生が確認され、その後、野生イノシシの感染地域の拡大に伴い、農場での感染が認められる地域も拡大している。一方で、沖縄県での発生や関東地方での発生については、イノシシの感染地域の地理的拡大による発生ではなく、汚染畜産物の流通や車両の移動など何らかの要因によって遠隔地にウイルスが伝播したと考えられている。国内への侵入時期や各地域へウイルスが侵入した時期を知ることができれば、流行要因や流行実態の解明につながり、防疫対策の立案などに活用できると考えられる。本研究では、農場およびイノシシから分離された豚熱ウイルスの全ゲノム情報から変異速度を推定し、国内の初発事例と遠隔地での発生事例2例を対象として、国内侵入時期と遠隔地での地域への侵入時期を推定する。 |
| 成果の内容・特徴 | 1. 2020年2月までに国内で確認された全ての発生農場と、豚熱の感染が確認された野生イノシシ93頭由来のウイルス遺伝子を解析し、ゲノム全長配列を決定する。 2. 国内へのウイルスの侵入は、初発農場での発生が摘発された2018年9月9日の146日前(95%信用区間:85日-216日)に起こったと推定される(図1)。 3. 推定された国内へのウイルス侵入時期は、初発農場での血液検査の結果などから推定された農場への感染時期より早く、また、初発農場の感染確認直後に周辺地域で野生イノシシの感染が確認されていることから、初発農場で確認される前に、既に周辺の野生イノシシが感染していたと考えられる。 4. 関東地方(埼玉県、群馬県、山梨県)および沖縄県の分離株は、それぞれ、他の株とは明確に区別され(図2)、感染地域から侵入した特定のウイルス株がそれぞれの地域で流行したと考えられる。また、関東地方への侵入は、地域で最初の農場が摘発される93日(95%CI :78日-135日)前、沖縄県への侵入は同じく34日(95%CI :8日-68日)前頃であったと推定される(図1)。 5. 農場での感染が確認される比較的長期間前に地域に侵入したと推定された関東地方においても、農場での感染確認直後に周辺地域でイノシシの感染が確認されている。 |
| 成果の活用面・留意点 | 1. 農場での感染が確認されていない地域であっても、イノシシでの感染が起こっている可能性があるため、野生イノシシについて適切なサーベイランスを実施する必要がある。 2. 本研究での推定侵入時期は、国内や各地域で最初に感染が起こった時期を示しており、実際に感染源となった畜産物等が侵入した時期を推定したものではない。 |
| 図表1 | ![]() |
| 研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/niah/2021/niah21_s11.html |
| カテゴリ | 豚 |
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