泌乳持続性の高い乳用牛は長い分娩間隔でも生涯生産性が高い

タイトル 泌乳持続性の高い乳用牛は長い分娩間隔でも生涯生産性が高い
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2018~2021
研究担当者 山崎武志
武田尚人
萩谷功一
山口諭
久保田哲史
田鎖直澄
発行年度 2021
要約 乳用牛の生涯生産性を出生から4産次泌乳終了までの1日当たり子牛販売額および乳生産量で評価し、それを最適にする乾乳期間と分娩間隔を模擬実験で検討する。最適な乾乳期間は泌乳持続性の程度に関わらず45日程度であり、泌乳持続性の高い場合、長い分娩間隔でも生涯生産性が高い。
キーワード 生涯生産性、泌乳持続性、分娩間隔、乾乳期間、乳用牛
背景・ねらい 乳用牛は生後25か月頃に初産し、乳生産を開始する。1日当たりの泌乳量(日乳量)は分娩後1~2か月でピークに達し、その後緩やかに減少するため、乳用牛は泌乳中に受胎し、適切な間隔で分娩を繰り返すことにより生涯の平均日乳量を高く維持する。酪農家の主要な収入は生乳販売および分娩に伴う子牛販売であることから、乳用牛の出生から除籍までの生涯にわたる子牛および乳生産効率(生涯生産性)を高めることが利益の向上につながる。国内の平均除籍産次は約3.3産であり、その期間で生涯生産性を最大にする分娩間隔を検討する必要がある。ピーク乳量を長く維持する能力(泌乳持続性)が高い乳用牛は、低いものより泌乳後期の日乳量が多いため、分娩間隔、すなわち泌乳期間がある程度長くても乳生産効率は維持されると考えられる。子牛販売の効率は、分娩間隔が短いほど良くなるが、子牛価格により生涯生産性への貢献度が異なる。乾乳期間は、短い方が生涯で泌乳しない期間の割合が小さくなるため、特に泌乳持続性が高い場合、長く泌乳させることにより生涯生産性の向上に貢献すると考えられるが、短すぎると次の分娩後の乳生産量が減少する。そのため、個体の泌乳持続性の特徴に合わせて、生涯生産性が最大にする分娩間隔および乾乳期間を特定できれば、個体管理計画の作成において最適な授精開始時期や乾乳時期を提示することが可能になる。
そこで、本成果では様々な泌乳持続性の水準を想定したときの、生涯生産性に与える分娩間隔、子牛価格、乾乳期間の影響を検討できるシミュレーション法を開発する。
成果の内容・特徴 1. 乳用牛の子牛生産を含めた生涯生産性について、出生から4産次泌乳終了までの子牛販売額および乳生産量の日乳量換算値【(総子牛販売価格の乳量換算値+総乳量)/4産次泌乳終了時日齢】で評価する(図1)。この指標に基づいて、表1の乳量、泌乳持続性、乾乳期間、分娩間隔の組合せで生涯生産性を評価する。
2. 乾乳期間45日未満における次産次の乳量低下を考慮した場合、泌乳持続性の水準および分娩間隔の長さに関わらず、乾乳期間が45日程度の時、生涯生産性は最大になり、泌乳持続性が低い水準では45日よりも短いとき、高い水準では45日よりも長いときの生涯生産性低下が相対的に大きい(図2)。
3. 泌乳持続性が低い場合、現行の目安(365日)よりも分娩間隔が長くなるに伴い生涯生産性は低下し、その傾向は子牛価格が高いほど顕著になる(図3)。一方、泌乳持続性が高い場合、子牛価格が高い条件においても、分娩間隔が長いとき生涯生産性は向上する。
成果の活用面・留意点 1. 乳用牛の生涯生産性を最大にする授精開始時期や乾乳時期を検討するための基礎情報として利用可能である。
2. 本研究では、生乳1kgあたりの販売収入(搾乳牛1頭あたり年間所得から子牛販売収入、乳牛償却費、人工授精費、獣医師料および医薬品費を除き、年間実搾乳量で割ったもの)を39.34円として子牛販売価格を乳量換算している。
図表1 248975-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/harc/2021/harc21_s11.html
カテゴリ 乳牛

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