タイトル | 大麦の根伸長角度の品種間差異と関連するHvDRO1およびHvqSOR1の多型 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 中日本農業研究センター |
研究期間 | 2020~2021 |
研究担当者 |
中野友貴 田中剛 関昌子 青木秀之 長嶺敬 伊藤博武 小西隼平 |
発行年度 | 2021 |
要約 | 大麦のHvDRO1およびHvqSOR1の遺伝子多型が根伸長角度の品種間差異と関連している。排水性の劣る重粘土壌での栽培が一般的である北陸・長野の育成品種の多くが浅根型のHvDRO1を保有している。 |
キーワード | 大麦、根伸長角度、遺伝子多型、重粘土壌、乾燥耐性、湿害耐性 |
背景・ねらい | 根の生育角度は植物の根系を決定する重要な形質であり、乾燥や湿害など様々な環境ストレスへの適応に貢献することが知られている。イネにおいては根伸長角度を制御する複数の遺伝子が同定されているが、大麦の根伸長角度を制御する遺伝子はほとんど明らかとなっていない。そこで本研究では、イネの根伸長角度を制御する重要遺伝子であるOsDRO1およびOsqSOR1の大麦における相同遺伝子を探索し、その遺伝子多型と根伸長角度の関連を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 大麦のゲノム情報を活用して同定したHvDRO1およびHvqSOR1はイネのOsDRO1およびOsqSOR1と60%以上のアミノ酸配列の相同性を示す。 2. HvDRO1にはスプライシングエラーを引き起こす遺伝子多型が存在し、変異型 (浅根型) のHvDRO1を保有する品種は根伸長角度が浅くなる傾向がある (図1)。 3. HvqSOR1にはアミノ酸置換を引き起こす遺伝子多型が存在し、変異型 (深根型) のHvDRO1を保有する品種は根伸長角度が深くなる傾向がある (図2)。 4. 浅根型のHvDRO1は排水性の劣る重粘土壌での栽培が一般的である北陸・長野で育成された品種の多くが保有している (図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 根伸長角度は透明な保水性ゲルSkyGel上に種子を置床し栽培したときの培地表面の水平面と最長根の根端の間の角度である。 2. HvDRO1およびHvqSOR1の遺伝子型はDNAマーカーを用いることで判別でき、圃場では視認できない根系を対象とした選抜が行える。 3. 大麦においては根伸長角度と環境ストレス耐性との関連に関する知見が少ないため、遺伝子多型と乾燥や湿害ストレス耐性との関連を評価する必要がある。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/carc/2021/carc21_s09.html |
カテゴリ | 大麦 乾燥 湿害 DNAマーカー 排水性 品種 |