タイトル | 遺伝子発現制御が可能なセイヨウミツバチの血球細胞培養系 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門 |
研究期間 | 2019~2021 |
研究担当者 |
畠山正統 渡邊和代 芳山三喜雄 秋月岳 横井翔 星田寛子 粥川琢巳 木村澄 |
発行年度 | 2021 |
要約 | 幼虫から回収した血球細胞を市販の培養液で簡便に培養する培養細胞実験系である。外来遺伝子の導入が可能であり、導入遺伝子の発現誘導や発現阻害が容易にできる。セイヨウミツバチの高付加価値化のための標的候補遺伝子の機能評価や、ゲノム編集ツールの選抜への利用が期待できる。 |
キーワード | セイヨウミツバチ、細胞培養、血球細胞、遺伝子発現制御、RNAi |
背景・ねらい | セイヨウミツバチは、役割に特化した個体が集団生活を営む社会性という生活様式のため、個体を扱う実験に困難を伴うという問題があり、遺伝子の機能を解析するために生体外で遺伝子の発現を制御できる培養細胞実験系が求められている。また、セイヨウミツバチの機能改良に用いるゲノム編集では、効率よく編集が行えるゲノム編集ツール(ガイドRNAと酵素タンパク質の複合体)の選抜が編集成否の重要な要因のひとつである。 そこで、本研究では細胞培養に供する組織の選抜と培養を最適化できる細胞の回収法を確立し、遺伝子導入とその発現誘導、および発現阻害の至適条件を検討することにより、遺伝子発現制御が可能な培養細胞実験系を構築する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 細胞の扱いやすさや特徴から、生体外での培養には幼虫から回収した血球細胞が最も適している(表1)。培養した血球細胞は2週間以上、健全な状態で維持できる(図1)。 2. 遺伝子発現ベクターを用いて任意の遺伝子の細胞への導入が可能で、汎用プロモーターを利用して遺伝子の発現を誘発できる(図2、3)。 3. 細胞培養液への二本鎖RNA(dsRNA)の添加、あるいは遺伝子発現ベクターと同時に二本鎖RNAを導入することにより、標的とする遺伝子の発現を阻害できる(図2、3)。 4. 市販の培養液、遺伝子発現ベクター、遺伝子導入試薬、二本鎖RNA合成試薬を用いて、容易に、再現性よく実施できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. セイヨウミツバチの高付加価値化のための改変標的遺伝子の機能評価や、生体内での有効性が期待できるゲノム編集ツールの選抜に活用できる。 2. 遺伝子発現を誘発できる細胞数が限られるため、遺伝子発現の検出感度が高い「レポーター遺伝子アッセイ」による遺伝子発現調節の解析への利用が有効である。 3. 株化細胞とは異なり、分裂・増殖しないため、長期にわたる細胞学的な解析には向いていない。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/nias/2021/nias21_s08.html |
カテゴリ | 高付加価値 ミツバチ |