農村地域における生ごみのメタン発酵基質としての特性

タイトル 農村地域における生ごみのメタン発酵基質としての特性
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究部門
研究期間 2020~2021
研究担当者 折立文子
中村真人
柴田浩彦
蒲地紀幸
山岡賢
発行年度 2021
要約 農村地域の生ごみの組成や性状等の特性データである。季節性を有する果菜類残渣の占める割合が高く、それに由来するC/N比等に変動があること、バイオガス発生率は0.67~0.82 NL/g-VSであることが特徴として挙げられ、農村の有機性資源を活用した混合メタン発酵設計時の参考となる。
キーワード 再生可能エネルギー、資源循環、混合メタン発酵、生ごみ、農村地域
背景・ねらい 農村地域に賦存する各種有機性資源を効率的に活用した混合メタン発酵システムは、再生可能エネルギー生産と資源循環の同時実現を可能とする。生ごみは有機物含有率が高く、生活圏で必ず発生することから、農村地域においても有望なメタン発酵基質といえる。しかし、その組成や性状は地域性や生活様式に影響を受け、結果として、それをメタン発酵した際のバイオガス発生量にも影響する。例えば、農村地域で発生する生ごみには季節性を有する野菜や果実の調理くずおよび収穫残渣などが高い割合で含有され、その性状やバイオガス発生量が変動することが予測される。そこで本研究では、生ごみを混合メタン発酵の基質として収集している農村地域のメタン発酵実証施設における生ごみの概況把握調査、同施設にて採取した生ごみの性状分析およびそれらを用いた回分式メタン発酵試験により、農村地域の生ごみの組成、性状、バイオガス発生量およびそれらの変動等のメタン発酵基質としての特性を明らかにする。
成果の内容・特徴 1. 生ごみの組成については、調査期間を通して野菜や果物の残渣の占める割合が高く(図1)、8月はスイカや枝豆等、10~11月は柿や柑橘類等、12~3月は柑橘類や根菜類等、季節ごとの違いがみられる。一方、残飯類はいずれの時期も一定の割合で含有されており、肉や魚類は調査期間を通して含有率が低い。
2. 生ごみの固形物(TS)濃度、有機物(VS)濃度、炭素と窒素の含有率の比(C/N比)は、それぞれ、約11~18%、10~17%および14~28であり、季節により異なる生ごみの組成由来と考えられる変動がみられる(図2)。
3. いずれの月の生ごみも回分式メタン発酵試験において21日間に発生するバイオガスの約8割が試験開始5日以内に得られており、メタン発酵開始にともなう原料中の有機物のすみやかな分解が認められる(図3)。
4. 回分式メタン発酵試験における生ごみのバイオガス発生率(21日間の積算バイオガス発生量を投入VS量で除した値)は0.67~0.82 NL/g-VSであり、各月間で生じる差は最大で0.15 NL/g-VS程度である。集排汚泥や家畜排泄物のバイオガス発生率より大きく、良好なメタン発酵基質といえる(図4)。
成果の活用面・留意点 1. 農村地域において、生ごみや農業集落排水汚泥等の各種有機性資源を集約してメタン発酵する混合メタン発酵の導入の際の基礎データとして活用できる。
2. メタン発酵には発酵温度が30~37°Cの中温発酵と50~55°Cの高温発酵がある。本成果の回分式メタン発酵試験は中温(37°C)で行っており、本成果は中温発酵に活用可能である。
3. 本成果は野菜や果樹の栽培が主に行われている農村地域の生ごみを対象としたものである。本成果と農業の特色が大きく異なる農村地域の生ごみに関しては今後調査が必要である。
図表1 249102-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/nire/2021/nire21_s12.html
カテゴリ 再生可能エネルギー すいか

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