畜産廃棄系バイオマスの処理・利用技術と再生可能エネルギー活用技術の開発

課題名 畜産廃棄系バイオマスの処理・利用技術と再生可能エネルギー活用技術の開発
課題番号 2011017599
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 (独)農業・食品産業技術総合研究機構,畜草研,畜産環境
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,畜草研,家畜飼養技術
協力分担関係 産業総合研究所
茨城県
太平洋セメント
小野田化学
千葉県畜産総合研究センター
三洋電機
研究期間 2011-2015
年度 2011
摘要 家畜排せつ物の堆肥化・浄化処理の高度化に関して、窒素成分の揮散抑制・回収の操作条件及び関与細菌叢の把握では、a)亜硝酸酸化促進法でN2O抑制効果向上と保持可能窒素量増加のためには、豚ふん堆肥化処理で、一次発酵後に完熟堆肥(亜硝酸酸化細菌源)を添加すると一旦高いN2O発生ピークが生じるが、その後速やかに発生が終息することでN2O総発生量が削減され、また堆肥中保持窒素量を増加できることを明らかにした。b)牛ふん尿スラリーの液肥化過程で、通気量が多いほど低級脂肪酸と大腸菌数の低減化に必要な時間が短縮し、有機物の分解が活発な時期にバチルス目細菌群の優占化が起こることを明らかにした。c)アンモニア脱臭装置内で循環水も硝化微生物のリザーバー機能を有している可能性を見出し、循環水プール量を増やすことで窒素回収量を増加させることに成功した。微生物による窒素除去の効率化では、d)硝酸とアンモニアを含む汚水から硝酸還元菌とアナモックス菌で窒素除去する際に、豚舎原汚水は電子供与体として利用でき、脱窒活性とアナモックス活性の至適条件が同じであることを示した。資源回収・苦情低減・富栄養化防止の同時対応を目指した候補技術については、e)チオ硫酸を電子供与体とする硫黄脱窒反応手法を検討し、非晶質ケイ酸カルシウムCSH-Gタイプの資材が処理性能と添加・回収時のハンドリング性で有効であり、実用化に最適と判断した。 堆肥由来エネルギーの高効率回収・利用技術に関しては、a)異なる副資材を混合した乳牛ふんの堆肥化過程での熱収支は、いずれの副資材の場合でも、初期かさ比重が500~700kg/m3程度の条件では原料温度の上昇が良好で速やかに堆肥化が進行し、初期原料が持つ全熱量のうち有機物分解過程で平均32.3%が消費され、排気として平均13.8%の熱量が回収できたものの、他の多くは潜熱として持ち出されたと推定した。b)実規模の堆肥化施設において、温度を無駄にしない切り返しタイミングは夏場が約1週間、冬場が約12日であり、冬季初旬は表層部と通気口付近で温度が低下し、発酵停滞の前兆があることを示した。c)エネルギー回収(発電)と浄化を目的とした微生物燃料電池の実験装置を試作し、電極として微生物の付着性が高い炭素繊維を選定した。 エネルギー自給型家畜飼養管理及び低環境負荷型家畜排せつ物処理システムの構築に関しては、a) つなぎ飼い1か所(搾乳牛24頭)と放し飼い2か所(同90頭)で電力を調査した。夏季の使用電力は日平均気温との相関が見られ、放し飼いはつなぎ飼いに比較して牛1頭当たりの使用電力量が多くなり、これを太陽電池で賄うにはつなぎ飼い牧場で30kW出力、放し飼い2牧場は各々250kW、180kW程度のパネル設置が必要と試算した。b)搾乳牛80頭規模のつなぎ飼い酪農家と110頭規模の牛をつながないフリーストール牛舎の酪農家においてCO2ヒートポンプによる生乳のプレクーリングシステムを設置したところ、前者では約80℃の高温水が日量980L、後者では2,620L生成することができた。これにより灯油消費量が大幅に減り、従来法に対して、エネルギー消費量を前者で49%、後者で34%の削減が可能なことを示した。ランニングコストでは、前者39%(14万円/年)、後者19%、(9万円/年)の削減となり、CO2排出量では前者40%(4,490kg-CO2/年)、後者21%(2,970kg-CO2/年)削減でき、導入システムは酪農の化石燃料低減・省エネルギー化に有効であることを明らかにした。c)酪農牛舎エネルギーネットワークに導入可能な再生可能エネルギーを選定し、適合性や、メタン発酵消化液貯留槽からの環境負荷ガスの発生量を明らかにした。また、Roth-Cモデルを用いた有機物施用量変化による土壌有機炭素含量と土壌炭素由来CO2発生量の変化を推定した。  このほか、原発事故対応に係わる成果として、a)放射能で汚染された堆積堆肥のその場で除染する原位置除染手法について、塩化カリウム溶液を除染液とした手法の可能性を示した。また、畜舎汚水処理で回収したリン酸含有物(普通肥料登録を予定)はセシウム・ストロンチウムの吸着能を有することを発見した。b)放射能汚染した牧草サイレージを10週間で堆肥化した場合、容積は40~60%、乾物量は60%以上減少し、堆肥中の放射能濃度は2.8~2.9倍に濃縮された。放射能に汚染された牛ふん尿の堆肥化時に放射能吸着材を添加しても、堆肥発酵に対する影響がないことを確認した。 前期までの開発実績を基盤として、「簡易高度処理施設(MAP反応槽)による豚舎汚水のリン除去回収に関する研究」と題する協定研究契約を茨城県と締結し、茨城県下の養豚事業所において実証試験を推進した。また、特許の実施許諾に基づきプラントメーカーが実設備を北海道の養豚事業所に納入した。
カテゴリ 肥料 アナモックス菌 化石燃料低減 コスト 再生可能エネルギー 飼育技術 省エネ・低コスト化 乳牛 ヒートポンプ メタン発酵消化液

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる