高商品性ニホンナシ・クリ及び核果類の品種育成と省力生産技術の開発

• 課題番号: 2012020372
• 研究機関名: 農業・食品産業技術総合研究機構
• 研究分担: 齋藤寿広
• 協力分担関係: 生物研; 種苗管理センター; 長崎農技開セ; 北農研; 中央農研; 寒川農技セ; 藤沢市農家; 兵庫農林水総セ; 丹波農業改良普及センター; 岐阜県中山間農業研究所
• 研究期間: 2011-2015
• 年度: 2012
• 摘要: ニホンナシの自家和合性又は自家摘果性の良食味品種の育成に関しては、a)全国で試作した良食味品種5系統の選抜試験の結果、いずれの系統も品種候補として有望であると評価した。特に、「筑波55号」（自家摘果性）と「筑波58号」は産地から有望であるとの評価があり、普及が見込まれることから、品種登録を行うこととした。b)交雑実生1,014個体の果実特性等を調査し、自家和合性、自家摘果性あるいは黒星病抵抗性を有する良食味の4個体を次回系適供試系統の候補として有望と判断し、255個体を淘汰、755個体を継続調査とした。c)「おさ二十世紀」由来の自家和合性遺伝子S4smにおける、自家和合性の遺伝様式を明らかにした。また、花粉・花柱両側自家和合性変異体の後代について分子遺伝学的解析を行い、Sハプロタイプの重複により2ないし3種類のSハプロタイプをゲノム中に合わせて2ないし3個持つ個体が自家和合性を示すことを明らかにした。; ニホンナシ等の省力・軽労化技術及び果肉障害対策技術等の安定生産技術の開発に関しては、a)ニホンナシ「あきづき」及び「秋麗」において、溶液受粉区の結実率は、慣行受粉に対し、「あきづき」では同程度、「秋麗」では8割程度になり、「あきづき」では溶液受粉の有効性を2年連続して確認した。b)ニホンナシ果肉障害の要因解析に関して、「あきづき」のコルク状障害は6月の灌水制限処理により増加したが、「王秋」では影響しないことを明らかにした。また、GA処理によりコルク状障害の発生が助長されることを明らかにした。c)モモ果肉障害要因解析について、ポリ袋による被覆処理は「あかつき」及び「川中島白桃」でみつ症の発生が大幅に増加し、果肉の細胞間隙液中のCa含量が大きく低下することを認めた。CaCl2の果面散布は「あかつき」のみつ症の発生を抑えることを確認した。d)肥効調節型尿素のスポット施肥は全面施肥に対して施肥作業時間が1/4程度で、雑草生育量も抑えることをニホンナシで明らかにした。モモに対し施肥基準量のカリとして安価な塩化カリを施用しても、樹体及び土壌への悪影響は認められなかった。e)ニホンナシジョイント樹体では、各樹の根から養水分が吸収されている場合、接ぎ木で隣接した樹体間の窒素移行はほとんどなく、主幹を切断あるいは養水分の供給が遮断された場合、隣接樹から養水分が供給され、主枝や結果枝部分が維持できることを明らかにした。f)有機物長期連用ブドウ園の土壌中炭素含量は、表層0～10cmにおいて、稲ワラ表面施用では3年、牛ふん堆肥では10年程度、バーク堆肥では20年程度で土壌炭素濃度の増加は見られなくなった。一方、草生管理では下層（深さ20～30cm）まで全炭素濃度を増加させる効果を認めた。; 核果類の系統評価及び新たな交雑種子の獲得、交雑実生の特性調査に関しては、a)核果類14系統について特性を調査した。地域適応性についてはいずれの系統も初結実ないし結実2年目で、ほとんどが継続の評価であり、平成25年度以降も検討を進めることとした。b)モモ交雑実生全924個体中、結実した合計495個体について特性調査を行い、果実形質等が優れる有望なモモ6、ウメ2、スモモ1、アンズ1の計10個体を注目個体としてそれぞれ選抜し、299個体を淘汰、615個体を継続調査とした。c)モモのせん孔細菌病について採集地の異なる4菌株について12品種を用いて比較した結果、どの菌株に対しても「もちづき」が最も強い抵抗性を示した。d)モモの交雑組合せごとの実生の収穫日、果実重、糖度の平均値について相関関係を調べ、相関は低く同じ収穫日でも果実重や糖度のばらつきが大きいことを明らかにした。同じ収穫日でも果実重が大きい、又は糖度が高い交雑実生が得られた交雑親を選抜した。; クリの系統評価及び新たな交雑種子の獲得、交雑実生の特性調査に関しては、a)クリ4系統について特性と地域適応性を解明する全国での試作試験が行われたが、結実後間もないため、平成25年度も引き続き評価する。b)交雑実生290個体の果実特性等を調査し、良食味や易剥皮性等の形質を有する有望な18個体を再調査と判定し、226個体を淘汰、46個体を継続調査とした。c)「ぽろたん」の易剥皮性の遺伝様式を明らかにした。
• カテゴリ: 病害虫 あんず うめ 果肉障害 くり 黒星病 軽労化 雑草 受粉 すもも 施肥 せん孔細菌病 茶 接ぎ木 抵抗性 日本なし 品種 ぶどう もも 良食味