気象災害リスク低減に向けた栽培管理支援システムの構築

課題名 気象災害リスク低減に向けた栽培管理支援システムの構築
課題番号 2012020415
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 菅野洋光
廣田知良
協力分担関係 山形県農研センター
福島県農研センター
愛知県農業センター
愛媛大学
秋田県立大学
農環研
岩手大学農学部
気象庁
北海道立総合研究機構
十勝農協連
研究期間 2011-2015
年度 2012
摘要 早期警戒・栽培管理支援システムの構築に関しては、a)水田作物の気象応答、気象災害リスクの評価について、障害型冷害誘導のために水深を深くすることで高温年でも不稔が安定的に発生し、履歴時期の低温による耐冷性低下の品種間差異の検定が可能となった。b)ダイズでは、収量の増加における最適温度の存在を確認し、また、開花期以降の土壌乾燥は、寒冷地での温度上昇による増収を打ち消す可能性を示した。c)ダウンスケールアンサンブル気象予測実験データの農業モデル適応技術の開発について、2週間アンサンブル予測実験結果を5kmメッシュにダウンスケールした気象データを適用した葉いもち病発生予測モデルでは、アンサンブル平均値を用いるより、確率情報として示すほうが妥当であることがわかった。d)気象予測データ版病害モデルの東北以外での適用性の検証について、イネ紋枯病発生予測システムを温暖地の温暖化後に適用できるように改良し、MIROC-Hモデル(A1Bシナリオ)を用いて、日本各地のイネ紋枯病被害度発生変動を10年間平均で評価したところ、全ての地点で、紋枯病の増加を予測したが、地点により増加割合には大きな差があった。e)土壌凍結深制御手法の改善・確立について、土壌凍結深制御に基づく、圃場内除雪(雪割り)により、凍結深30 cmを達成すると野良イモ発生量を無処理区対比で5%以下まで減らすことができた。本手法は十勝農協連の運営する農業情報システムである「てん蔵」に組み込まれ、十勝地方の農協と農家が利用可能となった。f)土壌凍結が深いほど、凍結時に下層から凍結層へより多くの水が移動するが、凍結深が40 cm程度では、硝酸態窒素の移動に大きな影響を与えず、一方、凍結が深い場合には凍結が浅い場合に比べ、融雪期に土壌水と硝酸態窒素の下方移動が凍結層によって抑制されることを明らかにした。g)降雨・降雪の評価と手法の改善では、メソモデル出力値、解析雨量、メッシュ気象システムの放射データから積雪水量分布を推定するモデルを開発し、消雪日を指標として各種パラメタチューニングを実施した。また、実測された積雪深を用いて日々の誤差を修正するシステムを構築した。
水田・畑地を対象とした各種温室効果ガス緩和技術の効果の検証に関しては、a)現地水田圃場の調査結果から、土壌の排水性とメタン発生量には、正の相関関係があり、土壌水分が高い圃場ほど、メタンの発生が大きくなることを明らかにした。b)秋の浅耕が翌夏のメタンガス放出量に及ぼす影響は一意には定められず、各地の圃場及び気象条件に大きく関わることを明らかにした。c) バイオ炭の土壌への施用は、コムギ栽培土壌の有機物分解呼吸量を変化させず、極めて高く炭素吸収源機能を向上させた。また、コムギの生育・収量に悪影響はないことを確認した。d)耕作放棄後の土壌炭素量は、放棄後20年以上の地点では、約8割の地点で増加し、年間の増加量は0.9t/ha/年、表層堆積リターを合わせると1.0t/ha/年となった。e)メタン放出に対する稲ワラの連用効果(34年間)は、前年に施用した稲ワラに由来する放出量を上回るが、堆肥の連用効果(41年間)は、前年 に施用した堆肥に由来する放出量を下回り、稲ワラを堆肥化して施用した方が温室効果に対する緩和効果が高いことを明らかにした。f) 牛ふん堆肥ペレットの土壌炭素蓄積効果は、施用18か月後では牛ふん堆肥バラ(非ペレット)とほぼ同等であることを示すとともに、ペレット施用による土壌微細構造の形成を非破壊観察する手法を確立した。
カテゴリ いもち病 乾燥 気候変動対策 栽培技術 水田 大豆 凍害 排水性 ばら 品種

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