課題名 | セルロース系バイオマスエタノール変換の高効率・簡易化技術の開発 |
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課題番号 | 2012020422 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
矢部希見子 |
協力分担関係 |
京都大学 北海道大学 岩手大学 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2012 |
摘要 | 未利用、低利用のセルロース系バイオマスの原料特性評価と粉砕・前処理技術の最適化に関しては、a)シャークミル(5 mmスクリーン装填)を用いてサトウキビバガスを粉砕・分画し、スクリーン通過画分(RF)及び非通過画分(HF)の酵素糖化率を比較した結果、RFはHFより高い糖化率を示し、RFをエタノール原料、HFを他用途に用いるカスケード利用の提案を行った。b)CaCCO法前処理物の糖化反応時に二酸化炭素で加圧することで、スラリーpHを調節できた(二酸化炭素分圧1気圧でpH 6.4、10気圧でpH 5.5)。また、10気圧下における単糖回収率及び可溶化率は、1気圧下と比較して高く、その差は50℃でより顕著であった。 革新的要素技術開発に関しては、a)原料や前処理法の違いによる糖化活性の変化を解析する目的で、トリコデルマ・リーセイM2-1株を用いた可溶性糖質連続フィード培養において、酵素生産性を評価し、セロビオースがセルラーゼ、キシロースがヘミセルラーゼ(主としてキシラナーゼ、β-キシロシダーゼ)の生産に有効であることが明らかとなり、糖化酵素カクテルの改良及び効率的利用法の確立に有用な知見を得た。b)M2-1株由来の紫外線照射変異株3株はβ-グルコシダーゼ活性が顕著に低下しており、その糖化液はセロビオース残存量が高いと推定され、酵素生産原料として有用であると判断した。c)キシロース発酵性酵母Candida shehatae ATY839株を用いた37℃、10%稲ワラの同時糖化発酵ではグルコースとともにキシロースも利用でき、20%稲ワラでも同時糖化発酵に成功した。d)高温(40℃)耐性、かつキシロースの同時異性化発酵が可能な遺伝子改変株C. glabrata 3163 dgXK1株を用いて、40℃でCaCCO法処理稲ワラの並行複発酵(基質の酵素糖化と発酵を同時に行う工程)を行い、高効率なエタノール生産を確認した。 副産物のカスケード利用技術の導入等に関しては、a)平成23年産稲ワラ中の高付加価値物質であるp-クマル酸とフェルラ酸の含有量(最大0.8%[w/w乾燥原料])を明らかにした。また、稲ワラ(「コシヒカリ」、「べこあおば」)及びソルガム2品種1系統(「メートル」、「高糖分」及び「SIL-05」)について付加価値の期待される脂質群、グリコシルセラミド及びステロール配当体の含有量を明らかにした。b)原料の貯蔵工程における成分変化の解析について、天日及び日陰乾燥方法など貯蔵工程の違いが稲ワラの総糖質含量に大きな影響を与えないことを明らかにした。c)食総研のベンチプラントにおいてkg単位の稲ワラ原料を用いて連続試験を行った結果、基質濃度の増加及び原料の粉砕方法によりエタノール収率が低下することを確認した。d)原料・副産物の他用途利用について、RT-CaCCO法前処理稲ワラのエタノール生産プロセスにメタン発酵と液肥の利用等を組み合わせ、コスト試算を行った結果、エタノール1L当たり150円程度(目標コストの5割高)の値を得た。酵素生産における各種重要パラメータの設定目標値の全体コストへの影響を解析した結果、酵素使用量の寄与が最も大きかった。e)土地利用変化の影響を加えたライフサイクルCO2(LC-CO2)の予備的解析により、稲ワラ由来のエタノール生産では、休耕田の利用など土地利用変化のない条件が、環境負荷低減に必要であることを示した。 |
カテゴリ | 環境負荷低減 乾燥 高付加価値 コスト さとうきび ソルガム 品種 |