| 課題名 | ③ 植物と有用土壌微生物との共生機構の解明 |
|---|---|
| 課題番号 | 2012020464 |
| 研究機関名 |
農業生物資源研究所 |
| 研究分担 |
林 誠 梅原 洋佐 今泉 温子 下田 宜司 |
| 協力分担関係 |
国立大学法人東北大学 (公財)岩手生物工学研究センター 国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学 東京農業大学 国立大学法人名古屋大学 国立大学法人三重大学 石川県公立大学法人石川県立大学 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 国立大学法人京都大学 国立大学法人九州大学 |
| 研究期間 | -4 |
| 年度 | 2012 |
| 摘要 | 1.ダイズなどマメ科作物の窒素固定効率の向上、およびイネなど非マメ科作物への根粒形成能の付与には、根粒共生に関与する植物遺伝子の網羅的な同定が必要である。そこで23年度に引き続き、マメ科モデル植物ミヤコグサの内生レトロトランスポゾン、LORE1の転移活性化系統を材料にさらに大規模な遺伝子破壊集団(タグライン)を作出した。後代種子の得られた1,511系統から共生変異体候補29系統を選抜した。今後、タグラインの系統数をさらに増やし、より多くの共生遺伝子を同定することで、根粒共生全体像の理解およびその応用に発展すると考えられる。 2.根粒菌が共生する際に機能するシグナル伝達経路において、菌根菌との共生にも必要な経路を共通共生経路と呼ぶ。共通共生経路で重要な役割を果たすイオンチャネルCASTOR・POLLUXはイネ、トマトやミヤコグサなど、陸上植物に広く保存されている。一方、タルウマゴヤシなど一部のマメ科植物では、POLLUXオルソログであるDMI1のみが見いだされていたことから、マメ科内でのイオンチャネルの機能進化が想定された。CASTOR、POLLUX、およびDMI1の機能比較解析により、DMI1は単独で、CASTOR・POLLUX両チャネルの機能を担うことが明らかとなった。さらに、CASTOR・POLLUXで保存されているチャネルフィルター領域のセリン残基(Ser)が、DMI1ではアラニン残基(Ala)に置換変異していた。そこで、POLLUXのSerをAlaに置換したところ、DMI1と同等の機能を発現した。これらのことから、フィルター領域のSerからAlaへの置換変異が、DMI1におけるチャネル機能進化を引き起こした原因であることを明らかにした。 3.共通共生経路を構成する遺伝子は菌根菌との共生に必要であり、菌根菌は陸上植物と広く共生することから、これら遺伝子は陸上植物で保存されていると考えられる。ところが、NIN遺伝子は根粒形成特異的であり、またマメ科植物にのみ保存されていることから、マメ科植物の成立に伴う根粒菌との共生能獲得において、NINの機能的な進化が重要な役割を果たしたと考えられた。そこで、NINが根粒形成を調節している仕組みを明らかにすることで、非マメ科植物への根粒形成能の付与に貢献できると考えた。NINは核に局在する転写因子であり、根粒菌の感染によって発現が誘導される多くの遺伝子の発現調節に関与していることを明らかにした。その中でも、細胞分裂に関与する複数のNF-Y遺伝子のプロモーターに結合し、それらの発現を直接制御していた。これらNF-Yの機能を抑制することにより根粒形成能が失われたこと、NINの異所的発現により根粒菌の非存在下で根粒様の構造を誘導したことから、NINは根粒形成の主要な調節因子であることが明らかとなった。 4.マメ科植物と根粒菌の共生による窒素固定の有効利用を図るためには、共生窒素固定活性の発現・維持に関わる宿主植物因子およびそれらによって成り立つ植物・微生物間相互作用の解明が必要である。そこで、根粒菌との共生は可能だが、窒素固定活性の低い根粒を形成するミヤコグサ変異体を研究材料とし、その原因遺伝子を同定した。原因遺伝子は、細胞内の小胞輸送に関わるQc-SNAREの一種であるSYP71をコードすると予測された。転写産物は、根粒を含む植物体全体で広く検出され、維管束組織で発現することが明らかになった。すなわち、維管束組織での小胞輸送が、根粒の窒素固定活性を高いレベルで維持する為に必須であると推察された。 |
| カテゴリ | 馬 大豆 トマト 輸送 |