課題名 | 多雪重粘土地帯における播種技術及び栽培管理技術の高度化による水田輪作システムの確立 |
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課題番号 | 2013022997 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
関正裕 |
協力分担関係 |
富山県農林水産総合技術センター 新潟県農業総合研究所 新潟大学 秋田県立大学 電気化学工業 松山株式会社 宮城県畜産試験場 宮城県古川農業試験場 株式会社新潟クボタ マルエイファーム株式会社 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2013 |
摘要 | 畝立て播種等によるムギ、ダイズの安定多収栽培と水稲直播を組み合わせた2年3作体系に関しては、 a) 温度依存反応式に基づき、日最高、最低気温を用いて推定した水稲湛水直播栽培の播種早限は、従来の日平均気温を基準とする播種早限と比較して、北陸地方の内陸部では高標高地点を除いて早まり、沿岸部周辺では遅れる傾向となることを明らかにした。 b) 縮緬じわ粒では、種子を24時間冠水処理したときの出芽率が整粒と比較して低く、出芽した実生の子葉の損傷程度が大きいなど、冠水処理による障害を受けやすいことを明らかにした。 c) 市販の施肥装置付き乗用田植機に、エアーアシスト条播機の機構を取り付けた播種機を試作した。本試作機では、カルパー粉衣した水稲種子を播種深0.3~0.5cmで条播できることを確認した。 d) オオムギの適期播種可能条件の拡大に向け、駆動輪のスリップや泥付きなどによる播種量変化を防ぐため汎用型GPS車速連動装置により試作した散播装置を電動化した。降雨後の悪条件下で実施した播種試験でも、種子が均一に散播されることを確認した。 e) トラクタ牽引式のディスク式中耕機を用いた畝立て播種機を、管理機用と同様にダイズ播種に利用可能にした。また、播種精度、畝形状の改善のために装着した整地板の有効性を確認した。 f) 小型汎用コンバインのこぎ胴の負荷を減らすため刈高さを替えて試験を行い、高刈りによって高速化が可能であることを認めた。また、そのときの収穫損失率は、倒伏がない適期収穫では、刈高さや作業速度を調節することで目標値(水稲・ムギ:3%、ダイズ:5%)以下にできることを明らかにした。 g) 地下水位制御システム(FOEAS)が導入されている新潟県燕市の現地実証圃場における水稲-ムギ-ダイズの輪作体系では、平成25年産オオムギの全刈収量は450kg/10aの多収を、湛水直播水稲の全刈収量は510kg/10aを、ダイズの全刈収量は270kg/10aを達成した。FOEASの経営面での導入効果について線形計画法によるモデル解析を行い、耕うん同時畝立て作業機のオオムギ-ダイズ汎用利用及びV溝乾田直播を導入したモデルでは、延べ作付面積拡大が可能となるほか、表面排水対策が不要になるため通常の圃場整備により土地利用の向上を促し、農業所得を2割増加させる効果が期待できることを推定した。 h) 多雪地域の地下水位制御システムの給・排水機能は耕起・代かきを繰り返すことで経年的に低下するが、籾殻弾丸暗渠を2m間隔で再施工することにより回復することを現地試験で確認した。 合理的な資材の投入による土壌管理技術及び雑草管理技術に関しては、 北陸地域において、 a) 肥沃度の低下した転換畑に対応した肥培管理技術としてダイズの深層施肥を検討したところ、富山県黒部市の現地試験において、対照区より約10%増収する事例を認めた。 b) イネ稲こうじ病の薬剤散布適期判定システムについては、現地実証において発生量の予測値は概ね実測値に近似し、農薬の散布適期判定結果は8割が妥当であることを確認した。 |
カテゴリ | 病害虫 稲こうじ病 FOEAS 乾田直播 管理技術 経営管理 栽培技術 雑草 GPS 直播栽培 水田 施肥 大豆 低コスト 土壌管理技術 農薬 播種 肥培管理 薬剤 輪作 輪作体系 |