課題名 | 地下水位制御システムを活用した温暖平坦地向け水田輪作システムの確立 |
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課題番号 | 2013022998 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
大下泰生 渡邊和洋 |
協力分担関係 |
山形県 新潟県 茨城県 栃木県 愛知県 岡山県 全農 富山県農業試験場 三重県農業研究所 (有)サンフレッシュ海津 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2013 |
摘要 | 不耕起や浅耕播種技術とFOEASを組み合わせた2年4作、3年5作体系の開発に関しては、 関東地域において、 a) 不耕起乾田直播の「ほしじるし」では、肥効調節型肥料LP70とLPS100割合が1:2のとき玄米収量が最大となり、タンパク含有率は適正範囲に抑えられることを明らかにした。 b) FOEASを用いた乾田直播では、播種後早期の地下かんがいにより、苗立ち率が有意に向上し、登熟期間の給水により登熟歩合及び整粒割合が高い傾向にあったが、収量は慣行水管理との間で顕著な差は確認できなかった。 c) パン用コムギ「ユメシホウ」の収量とタンパク質含有率の基準値範囲内制御のためには、茎立期窒素4kg/10a追肥と開花期の窒素4kg/10a追肥が効果的で、収益性も高いことを確認した。 d) ダイズ「あやこがね」の夏季の地下水位制御により粒重が大きくなり、地下かんがいを行わない対照暗渠区に比べて有意差はないものの平均収量は14%向上した。 e) 関東地域におけるオオムギ-水稲体系で、オオムギ「カシマゴール」の茎立期前までに水稲「ほしじるし」を不耕起播種機による間作播種、あるいはオオムギ収穫後に水稲早生品種である「一番星」を晩播する体系を実施し、オオムギ+水稲で1,100kg/10a以上の収量を確保できた。 f) 作業幅2.4mの大型のディスク作溝型不耕起播種機を開発し、設定作業速度の向上、資材タンクの容量増大等の改良により、作業幅1.8mの従来機に比べて能率が1.6倍に向上し、水稲乾田直播及びダイズでは従来機と同等の出芽率を得た。 g) 千葉県横芝光町現地のFOEAS圃場において、水稲乾田直播は513kg/10a、コムギ425kg/10a、ダイズ240kg/10aの全刈り収量を得た。実証地の3年4作体系において、平成20年の関東地域の平均に対して10a当たり作業時間は52%短縮でき、60kg当たり生産費は33%削減できた。 東海地域において、 a) 小明渠浅耕播種機の鎮圧ローラの鎮圧力は、ローラの支持位置を下げると強まるが、作業速度を速めることによっても支持位置が高い状態での鎮圧力が強まることを確認した。ダイズついては、耕うん前の地表面より鎮圧ローラ下端を高い位置に設定した弱い鎮圧条件下で播種することにより、出芽率が高まることを確認した。 b) 岐阜県海津市での現地試験では、コムギは-30cmに水位設定したFOEAS圃場で493kg/10aの収量を得たが、降雨後の地下水位維持による多湿条件では対照の暗渠圃場に比べると14%減収したことから、多雨時には水位制御器の開放が必要と判断した。バレイショは同じく-30cmの水位設定で43%増の多収(2,925kg/10a)を得た。 合理的な資材の投入による土壌管理技術及び雑草管理技術に関しては、 関東・東海地域において、 a) 水稲の連絡栽培試験により、土壌中の有効態リン酸量を維持する考え方に基づき、有効態リン酸が10~15mg/100gの場合には標準施肥量~その半量の施肥を、15mg/100gより大きい場合には半量の施肥を行う等の減肥基本指針を策定した。 b) 除草剤削減に向けた除草体系については、ダイズ播種前の短期湛水処理で落水後播種前及びダイズ栽培期間の雑草発生量を減少させる効果を認め、その効果は特に不耕起播種で顕著となることがわかった。また、冬季の不耕起管理によって、ダイズ生育期の雑草発生数が減少し、地表のクサネム種子は翌年6月までに約80%以上が死滅することを確認した。 |
カテゴリ | 病害虫 肥料 FOEAS 乾田直播 管理技術 雑草 除草 除草剤 水田 施肥 大豆 低コスト 土壌管理技術 播種 ばれいしょ 品種 水管理 輪作 |