気候変動が果樹生産に及ぼす影響の機構解明及び温暖化対応技術の開発

課題名 気候変動が果樹生産に及ぼす影響の機構解明及び温暖化対応技術の開発
課題番号 2014025594
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 森口卓哉
協力分担関係 筑波大
岩手農研セ
茨城園試
山梨県果樹試
熊本農研セ
長崎農技セ
鹿児島県農業開発総合センター
生物研
岩手大
研究期間 2011-2015
年度 2014
摘要 温暖化影響を評価するマップや晩霜害、発育不良等への対応技術開発に関しては、
a) ビワについては、「長崎21号」の耐寒性(3月までに凍死しなかった果実の比率)は1~2月の最低気温と相関が高く、耐寒性80%を基準にすると-3.1℃以下に気温が低下すると寒害が発生し、これは「茂木」より弱く、「なつたより」や「長崎早生」と同程度であることを明らかにした。
b) 現在のウンシュウミカン生産適地が今後も適地として継続する面積割合(適地継続率)は、温室効果ガス排出シナリオによらず21世紀半ばには現在比70~80%となり、21世紀末には0~70%まで低下することを推定した。一方、亜熱帯果樹であるタンカンの生産適地は、現状、国土面積の1%程度であるが、将来は国土面積の13~34%に増加すると推定した。
c) ブドウ「巨峰」の着色不良発生マップを作成した。カラーチャート値6~8を赤熟れとすると、現在は九州の平野部や西日本、東日本の都市部が赤熟れしやすく、2030年代には西日本の平野部全体に、2050年代には東日本の平野部や甲府盆地においても赤熟れが頻発すると予測した。
d) 主要落葉果樹の春季の発育ステージ(発芽日、開花日等)を予測する複数樹種にも対応できる汎用的なモデルについて、計算手法の改善により多地点を統合した最適化を可能とした。
e) 晩霜害の課題について、花芽の耐凍性を指標に自動で散水を行うシステムを作成した。ニホンナシのポット樹を対象にした小規模実験で本システムにより晩霜害を回避できることを示した。
温暖化による生理的障害の発生機構の解明に関しては、発芽不良発生地においては、秋冬期の窒素施肥は混合芽内含水率を高め、耐凍性の獲得を阻害していることを確認した。これにより施肥時期を翌年春以降に変更することにより、発芽不良発生リスク低減の可能性を見出した。
園地の炭素蓄積能力の数値評価に関しては、
a) 同様な栽培管理を約10年続けた果樹園の土壌炭素含量は地点、栽培管理が異なっても全ての処理区で連用年数とともに直線的に増加又は減少すること、堆肥や下草で供給した炭素の残存率は地点間で大きく異なることなどを明らかにした。
b) 異なる有機物処理区の土壌炭素量の実測値と土壌炭素動態モデルRoth-Cによる計算値は連用処理期間中ではよく一致していたが、連用を中止すると、貯留された土壌炭素は急激に減少し、土壌炭素動態モデルによる計算値は実測値より過大評価となることが明らかとなった。
カテゴリ 亜熱帯 温州みかん カラー 栽培技術 施肥 耐寒性 たんかん 発芽不良 びわ ぶどう

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